外部審査会で調査へ 職員の自殺巡り和歌山市

和歌山市の男性職員(当時28)が2020年6月に自殺し、配慮を欠く人事などのストレスが原因と遺族が訴えている問題で、市は7日、外部有識者による市公正職務審査会に諮問し、人事配置などに不利益な扱いがあったかどうか調査を行うと発表した。

男性は2018年5月、勤務先の平井児童館で上司から不正な補助金申請の書類作成を指示され、心身に不調をきたして休職。同年8月に公益通報を行った。市は公益通報を元に不正を確認し、20年2月に関与した職員15人を処分。男性は18年10月に職場復帰後、20年4月から処分を受けた職員と同じフロアでの勤務となり、同年6月に自殺した。

遺族の支援団体が今月1日、結成総会を開き、男性の母親は、男性の公務災害認定や、市の第三者委員会による真相解明を訴えていた。

7日、市の大野矢雄公正職務専門主幹らが市役所で記者会見。遺族の訴えについて、市として第三者の意見を聞くべきと判断し、諮問を決めたと説明した。

公益通報で処分を受けた職員と男性が同じフロアになったことについて市は、4課合わせて約200人がいるフロアで、同じ課ではなく、2人が直接業務で関わることもなく、男性の自殺後の市の調査でも、男性が嫌がらせを受けるなどの事実は確認されていないとして、「不適切な異動だったとは考えていない」との認識を示したが、審査会では、市の判断の妥当性などが調査の対象となるとした。

審査会が、遺族が求める第三者委員会に当たるのかとの質問に市は、中立な外部の人が調査する点が重要で、その意味で第三者委員会と同様だとした。

審査会は弁護士2人と大学教授の3人で構成し、6月下旬から7月上旬に第1回を開き、回数や期間は未定。審査会の調査結果は公表する予定だが、遺族への配慮、公表の在り方などは検討する。

大野専門主幹は「審査会の調査に真摯(しんし)に対応し、出てきた結果に対しても適切に対応する」と述べた。

 

記者会見する和歌山市の大野公正職務専門主幹㊥ら
記者会見する和歌山市の大野公正職務専門主幹㊥ら