災害時ドローン活用 鴻池運輸と和市協定

和歌山市は2日、物流や鉄鋼関連事業などを手掛ける鴻池運輸㈱和歌山支店(同市松江中、藪本恵三支店長)と、災害時に同支店が保有するドローンを活用し、被災状況の把握などの支援を行う協定を締結した。同社がドローン活用で自治体と協定を結ぶのは全国で初めて。

南海トラフ巨大地震などの災害で市内に甚大な被害が発生した場合や発生の恐れがある場合に、市の要請に基づき同支店は、所有するドローンとパイロットの人員を提供し、災害現場の被災状況の把握や地図の作成、被災者の捜索などの支援活動を行う。

使用するドローンは、機体重量6300㌘、最大飛行時間55分、最大通信可能距離8㌔、最大飛行速度82・8㌔。風速12㍍での飛行が可能で、AI(人工知能)、6方向検知、GPSによる測位機能を備えている他、カメラは広角、ズーム機能、レーザー距離計を搭載し、赤外線撮影、遠隔で音声を伝える拡声機能もあり、災害現場での活躍が期待される。

締結式は市役所で行われ、藪本支店長と尾花正啓市長が協定書に署名。尾花市長は「災害時には状況の把握が非常に重要であり、ドローンの協力が得られるのは大変心強い。早期の復旧・復興にも有意義な協定となる」と感謝し、藪本支店長は「われわれの持つノウハウを、地域社会を守ることに活用できるチャンスをいただき、身の引き締まる思いだ」と話した。

協定調印後、市役所前の和歌山城西の丸広場でドローンのデモンストレーションを行い、出席者は、ドローンが和歌山城天守閣の周囲を飛び、鮮明な画像が地上のモニターに映し出される様子などを確認した。

 

協定書を手に藪本支店長㊧と尾花市長
協定書を手に藪本支店長㊧と尾花市長