憧れは美空ひばり 10歳の木谷紳之介さん

伸びやかな歌声を響かせる紳之介さん
伸びやかな歌声を響かせる紳之介さん

透き通るようなハイトーンボイスで感情たっぷりに昭和歌謡を歌う10歳のシンガー、木谷紳之介さん(和歌山市立八幡台小5年)。小さい頃から歌が大好きで、5歳で初舞台、8歳で単独コンサートを開催。県内の祭りやイベントなどに出演し、美空ひばり、青江三奈、美川憲一などの曲を歌い、聴く人に感動を届けている。「将来はデビューして活躍したい。でも声変わりするから今の声で歌えるのはあと2年ぐらいかな」と話す紳之介さんは1年ぶりとなる単独コンサートに向け、練習に励んでいる。

紳之介さんの父、悦也さんはピアニスト兼指揮者。母はシンガー・ソングライターの宝子さん。音楽に囲まれた環境の中で生まれ育った。歌手を志したのは2年前。シャンソンを歌う山本リンダのステージを見て、そのかっこ良さに衝撃を受け「自分も歌で人を感動させたい」と思ったことがきっかけ。研究のためユー・チューブでいろいろな歌手を検索している時、美空ひばりを知り「素晴らしい歌声に聞きほれた」。何度も歌を聴き、練習。一番得意としているのは、「川の流れのように」と「真赤な太陽」。

その後、青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」を聴き「声がセクシーでかっこいい」と昭和歌謡にも興味を持ち、江利チエミの「テネシー・ワルツ」、朝丘雪路の「雨がやんだら」などレパートリーの幅を広げていった。

紳之介さんは「昭和歌謡は歌う人の声に艶がある。あと40年ほど早く生まれて生で歌声を聴きたかった」と話す。

歌を辞めた3カ月 思い一層深く強く
悦也さん、宝子さんと共に笑顔の紳之介さん
悦也さん、宝子さんと共に笑顔の紳之介さん

紳之介さんにとって歌は生きがいであり、人生そのもの。しかし昨年歌をやめた時期がある。

単独コンサートを開いて以来、依頼が増え毎週末ステージに立っていたある日、突然咳が止まらず、歌うことができなくなった。宝子さんは医師から「心因性によるもので、いつ治るか分からない。ストレスとなっているものをやめさせた方がいい」と言われた。ステージに立つ緊張が紳之介さんにとってストレスになっていた可能性があるという。その日から紳之介さんは歌を封印。「歌がない世界は見えるものが全てグレーだった」と振り返る。

日に日に「歌いたい」という思いが募り、気付けば3カ月後、症状は治まり再び歌うことができるようになった。この経験で紳之介さんは、歌への思いがより深く強くなったという。

今後の目標はジャズ、シャンソン、演歌、歌謡曲と多くのジャンルを歌えるようになること。悦也さんは「僕たちが才能のある子どもにいろいろ言ってつぶしてしまわないようにと思い、やりたいようにさせ口出しをしないようにしている」と話す。歌の表現方法、ライブの選曲も紳之介さんが考えている。

18日午後2時から同市米屋町のぶらくり丁コストコ再販店CALICO2階で「木谷紳之介夏休み昭和歌謡祭」を開催。「伊勢佐木町ブルース」、「和歌山ブルース」、「さそり座の女」、「車屋さん」など10曲を披露する。紳之介さんは「昭和の名曲で盛り上げます。ぜひ聴きに来てください」と呼びかけている。入場料は1500円、小学生以下500円。9月1日午後6時から和歌山城ホール展示室である「和歌山歌まつり」にもゲスト出演する。チケットは前売り2000円、当日2500円。

問い合わせは、きたにエンターテイメント(℡090・7961・1575)。