教育振興に寄与 和大が故奥田氏に名誉学位
和歌山大学(和歌山市栄谷)は8月28日、デジタルマーケティングやコールセンター事業などの情報サービスを提供するトランスコスモス㈱(東京都豊島区)の創業者、故・奥田耕己氏に名誉学士を授与した。
奥田氏は1937年1月9日、大阪市生まれ。6歳で戦争による疎開のため橋本市に移住し、約20年間暮らした。57年4月に同大学経済学部に入学し、63年3月に中退。66年に同社の前身となる丸栄計算センター㈱を設立し代表取締役社長を務め、85年6月にトランスコスモス㈱を設立。代表取締役社長や会長、グループCEOなどを務めた後、22年4月2日に死去した。
国内の情報サービス産業や女性、地方、障害者雇用の発展に寄与するとともに、91年に和歌山市で財団法人奥田育英会(現・公益財団法人トランスコスモス財団)を設立し、県出身の学生を対象とした奨学金事業や学校への図書寄贈など、一貫して和歌山の教育振興の支援に取り組んだことや、同大学の教育研究の進展に寄与した功績が顕著であると認められたことから、名誉学士の授与が決まった。同大学で「学士」の名誉学位授与は第1号となった。
授与式は同大学で行われ、本山貢学長が奥田氏の長男で同社の奥田昌孝代表取締役会長に、学位記、同社と同財団への感謝状を手渡した。
昌孝氏は「母校和歌山大学から名誉学士を授かり、父を追うように9カ月後に他界した母と、きょうは2人で大喜びしていると思う」などと話した。
本山学長は「奥田氏の功績を基に、学生たちが次へと発展していけるのではないかと期待が膨らむ」などとあいさつした。