公正な審理求め署名提出 和市職員自死で支援団体
和歌山市の補助金不正を公益通報した男性職員(当時28)が2020年6月に自死し、配慮を欠く人事があったなどと遺族が訴えている問題で、遺族と遺族の支援団体は30日、男性の公務災害を不認定とした地方公務員災害補償基金県支部の審査機関である支部審査会に対し、遺族の異議申し立てを公正に審理・裁決するよう求める署名3万6655筆を提出した。
男性は18年5月、勤務先の平井児童館で上司から不正な補助金申請の書類作成を指示され、心身に不調をきたして休職。同年8月に公益通報を行った。市は公益通報を元に不正を確認し、20年2月に関与した職員15人を処分。男性は18年10月に職場復帰し、20年4月から処分を受けた職員の顔が見える同じフロアでの勤務となった後、同年6月に自死した。
遺族は同県支部に公務災害の請求を行い、24年1月に公務外と判断されたことを不服とし、異議を申し立てている。
署名は、男性の公務災害認定、市の第三者委員会による真相解明を訴える支援団体「Aさんの公務災害認定を支援する会」が24年6月から集め、今回の提出分の内訳は電子署名3万5460筆、紙の署名1195筆となっている。
支援する会共同代表の西泰伸さんは「不正を強いられた公務員の気持ちを考えてもらいたい。Aさんが公益通報までしてくれたから不正が明らかになったが、報復人事が行われたのではないかと考えている。(審査会には)公正な判断を下してもらいたい」と訴え、男性の母親(64)は「多くの署名が集まったのは支援する会の皆さんのおかげ。こちらからアプローチしなければ、うやむやになってしまう。息子と同じ思いをし、戦うことができずに病み、公務員をやめた人、陰で泣いている人もたくさんいる。頑張っていきたい」と思いを話した。
市は外部の弁護士や学識経験者ら3人による公正職務審査会に諮問し、男性に対して不利益、不適切な取り扱いがなかったか調査を行っている。支援する会は、同審査会の答申に一定の期待を寄せる一方、答申の内容にかかわらず、遺族から市に民事訴訟を提起するとし、準備を進めている。