元医師の「健康紙芝居」好評 役立つ情報を伝授

「高齢者に昔を思い出して楽しんでもらいたい」と和歌山市西浜の嶋本脳神経外科・内科(嶋本嘉克院長)で18日、紙芝居を見る会が開かれた。紙芝居を演じたのは同市の元医師、石井亨さん(82)。紙芝居作家・演者として活動する石井さんは病気予防の大切さを分かりやすく伝える「健康紙芝居」も披露し、外来患者とデイサービス利用者約30人は、童心に返ったかのように物語に聴き入り、健康に関する知識や意識を高めた。
元来、絵を描くことを趣味としていた石井さんは、80歳で内科医を引退した後「子どもの頃に憧れていた紙芝居をする人になりたい」と活動。素朴で心温まる絵と作風が高く評価され、23年に県教委主催の手作り紙芝居コンクールで特別奨励賞、24年には横浜市で開かれたコンクールで横浜市長賞に輝いている。
この日は、石井さんが紙芝居作りをするきっかけとなった子どもの頃の実話を描いた「おっちゃんの宝もの」、故・松下幸之助氏が和歌山から丁稚奉公に行き、成功を収めるまでの物語など3作を披露。高齢者の多くが悩む不眠について解説する「今すぐ役立つ睡眠のはなし」も上演した。
石井さんは冒頭で「よく眠れなかった日は、体がだるくなってつらいですよね。でも薬を飲まずによく眠れる良い方法がありますから、居眠りしないでよ~く聞いてくださいね」と呼びかけると、会場は和やかに雰囲気に。
睡眠障害の原因に睡眠時無呼吸症候群を挙げ、いびきとの関係を解説。「いびきは雑音でなく危険信号。病院で検査を受けてほしい」と注意喚起した。もう一つの原因に挙げたのは、むずむず脚症候群。かゆみ、痛みなどの不快な異常感覚が表れる症状があり、中高年になるとよりかかる人が増えるといわれている。気温が高くなり暑さを感じる時期に症状が出やすく、受診が必要だと伝えた。
「専門家いはく、夜眠れないという人は午後7時から9時半に寝るか、テレビの前で居眠りしている。時計と体内時計が合わなくなってくるので、その時間に寝るのは避けてほしい」とし、自己催眠法を伝授。頭を空っぽにし、手足の力を抜いて体が沈んでいくのをイメージし、ゆっくり深呼吸を繰り返す方法を紹介した。
嶋本院長は「日常生活に取り入れられる分かりやすい話で、皆さんよく聞いて楽しんでいた」と笑顔。石井さんは「立体的に伝えられる紙芝居の可能性は大きい。今後は高齢者に特殊詐欺被害防止や、若者向けに命の大切さなどをテーマにした紙芝居も作ってみたい」と話していた。