「グリーン」選択で地域に貢献

前号より、安価で便利な移動手段として米国で浸透している「ライドシェア」を取り上げている。今週は電気自動車(EV)の配車を選択できる事例を紹介したい。
ライドシェアを利用しようとアプリを立ち上げると、用途に応じてさまざまな車種が選択できる。この中に「グリーン」という選択肢があり、「手頃な価格で環境に優しい車に乗れる」という記載が。配車を依頼し乗ってみることにした。
配車されたのは日本でも浸透している米国メーカーの電気自動車。車種特有の滑らかな走りと静粛性、透明のルーフからは青空が見え、ワイキキのビーチ沿いの走行はとても快適であった。
乗車が完了すると、ガソリン車と比べ削減できた二酸化炭素の推定量が表示される。滞在中に複数回、グリーンを選択し乗車したところ、削減量が累積値として表示された。また「あなたがもたらしたプラスの影響」として、削減できたガソリン使用量も表示。自らの貢献が可視化されることで、旅行先の環境に配慮できたという自覚も生まれる。利用する時間帯にもよるが、料金は他の車種と比べ1割程度割高である程度。
このサービスを提供する事業者では、移動による二酸化炭素の排出を抑えることを掲げ、自動車メーカーと連携し、ドライバーに電気自動車への乗り換えを促進。一定の基準を満たせば購入費用の一部が補助されるなどドライバーにとっても、メリットがある仕組みである。
日本国内でも東京の一部の地域で、配車時にタクシー会社が運行する電気自動車を選択できるサービスがあるが、まだまだ限定的。サステナブルな社会の実現に向け、市民や観光客ができる選択が広がることを期待したい。(次田尚弘/ホノルル)