大雨による水害想定 海南署などが救出訓練

梅雨に入り台風シーズンを控え、海南署などは23日、和歌山県紀美野町の宿泊施設かじか荘で水害を想定した救出救助訓練を行った。
同署、県警警備部機動隊、同町消防本部などから約30人が参加。同施設横を流れる貴志川で、河川の増水により対岸に取り残された人を救出する内容で実施された。
線状降水帯の発生により河川が増水。河川敷でキャンプをしていた人が河川に流され負傷。自力で歩けない人と、軽傷の人がいる想定で訓練を行った。
隊員は、膝丈ほどの深さの川を上下流へ歩きながら救助者がいないか探し、下流の対岸で救助を待つ人を発見。陸地の隊員と無線で連絡を取り合い、ボートで救出に向かった。
その間も「けがは無いですか。歩けますか」など救助者に声をかけつつ、無線で本部に状況報告をし続け、消防隊員が歩けない人を、警察署員が軽傷者をそれぞれのボートに乗せ、岸へ戻った。
前日の雨の影響で普段よりも川の流れが速く、水深も深くなっていた中、隊員らはそれぞれの役割を確認し、ボートの進行方向や出すタイミングなど関係機関との連携を図った。
予定されていたヘリコプターによるホイスト(つり上げ)救助訓練は、ヘリ出発地の悪天候のため、中止となった。
海南署の加藤志保副署長は「関係機関との協力が必要だと実感し、日々の努力の成果が発揮された訓練だった。引き続き強化に努めたい」と話し、同町消防本部の井川豊一消防長は「自然災害は近年複雑で多様化している。顔を合わせて行う合同訓練は意味がある。訓練を重ね、連携を深めていきたい」と講評した。