「清姫」の新作初演へ 和歌山市民オペラ協会

新旧のオペラ「清姫」を一度に観賞できる
新旧のオペラ「清姫」を一度に観賞できる

和歌山県日高川町の道成寺に伝わる安珍と清姫の悲恋を描いたオペラ「清姫」の続編となる新作が、和歌山市民オペラ協会(多田佳世子会長)によって初演される。31日午後2時半(開場1時)から、和歌山市七番丁の和歌山城ホール大ホールで。安珍が逃げ込んだ道成寺の鐘を、大蛇となった清姫が取り巻く有名な場面が、和洋融合の新たな表現で描き出される。

安珍・清姫伝説は平安時代中期(11世紀)の仏教説話集「法華験記」に原型が見られる物語で、能楽や文楽、歌舞伎などさまざまな古典芸能の題材となり、広く知られている。

オペラ「清姫」は、文楽「日高川入相花王」の現存する台本を基に、野々垣惠信さんが「渡し場の段」を作曲。安珍を追って日高川の渡し場にたどり着いた清姫が、蛇体に変じて川を渡る場面を描いており、市民オペラ協会は8回上演してきた。

直近の2023年の公演後、「続きもオペラで見たい」との声が寄せられ、続編「道成寺の場」の制作がスタート。「渡し場の段」に続く、清姫の情念が鐘の中に逃げ込んだ安珍を焼き殺すクライマックスの場面は文楽の台本が現存しないため、道成寺の縁起や研究書を基に、新たに野々垣さんが台本と作曲を手がけた。

今回の公演は、第1部として「渡し場の段」、第2部に「道成寺の場」を続けて上演する。公演に先立ち、午後2時から野々垣さんによるプレトークもある。

同協会は「初演ができるのは大変光栄なこと。1部と2部は物語の続きではあるが、音楽の雰囲気や演出なども違っており、2本立てと考えてもらっていい」と話しており、新旧両作の違いを楽しめるのも見どころとなっている。

語り・総合プロデューサーを多田会長、演出と蛇体の清姫を和歌山市の能楽師・松井彬さんが務め、清姫は井谷有紀さん(1部)と久保美雪さん(2部)、安珍は孫勇太さんが演じる。演奏は和歌山市民オペラ室内管弦楽団、ピアノの宮井愛子さん、指揮は作曲者の野々垣さん。

チケットは前売り指定S席5000円、A席4000円、自由席3000円(当日は各500円増)。同ホールなどで取り扱っている。問い合わせなどは同協会事務局(℡080・5305・7718)。