世界農業遺産に認定 有田・下津みかんシステム

和歌山県は27日、有田・下津地域で400年以上前から行われているミカン生産に関する特徴的な手法や景観が「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」として世界農業遺産に26日付で認定されたと発表した。県内の世界農業遺産は、15年認定の「みなべ・田辺の梅システム」に続き2カ所目となり、ミカンの販路拡大や生産者の意欲高揚、観光などへの波及効果が期待されている。
世界農業遺産は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、景観などが一体となった地域を、国連食糧農業機関(FAO)が認定する制度。
長峰山脈を挟んで隣接する有田・下津地域では、農家の手で独自の技術による石積み階段園が傾斜地に築かれ、江戸時代には日本初の共同出荷組織「蜜柑方」を組織し、輸送・販売の体制を構築。日本で初めてミカン栽培を生計の手段に発展させることに成功したとされる。
さらに、自然条件を生かした多様な系統の導入、優良品種の発見を重ね、年内に出荷する「有田みかん」、甘みを増す貯蔵技術を用い年明けに流通させる「下津蔵出しみかん」のリレーによる長期出荷を実現し、日本一の生産量と生産額を誇る産地として現在まで継承されている。
別々に日本農業遺産となっていた下津地域の「下津蔵出しみかんシステム」、有田地域の「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」を一体として世界農業遺産認定を目指し、両地域の市町や県、農協など23団体は2022年5月、「有田・下津地域世界農業遺産推進協議会」を設立。23年10月にFAOに申請し、書類審査や審査委員による現地調査を経て、認定が決まった。
FAOは今回、有田・下津の他、島根県の奥出雲とイタリア・アマルフィの2地域も同時に認定。認定地域は世界102カ所、日本国内17カ所となった。

認定を受け記者会見した宮﨑泉知事は「大変うれしく、世界に誇れるものがまた一つ増えたと喜んでいる」と述べ、生産者をはじめ認定に向けて取り組んできた関係者の努力に敬意を表するとともに、「世界に認められた歴史、文化、栽培技術や石積み階段園の景観など400年以上前から続く地域の宝を未来へ継承するため、ミカンの販売促進や誘客のための情報発信など、地域が一体となった取り組みを展開したい」と話した。
同推進協議会の森田耕司会長は「認定され感無量だ。当地域のミカン栽培が国内だけでなく、世界的に認知されることを願うとともに、認定がゴールではなく、これからも未来永劫発展し続けるよう、地域が力を合わせていかねばと思っている」、県議会農業遺産推進協議会の尾崎要二会長は岩田弘彦県議会議長との連名で、「認定を地域の誇りとして、ミカンの栽培技術の向上や景観保全に、より一層力を入れ、歴史と文化が根付く地域の魅力を未来に継承していく」とコメントした。