期間限定で運航「深日洲本ライナー」

旅客船が発着する「洲本港」
旅客船が発着する「洲本港」

前号では、紀淡海峡を経て和歌山市と洲本市を結ぶ「紀淡連絡道路」の構想について取り上げた。多額の費用と高い技術が求められ、地方における人口減少なども関係し実現までのハードルは高い。

しかし、海路を通じた広域交流と地域活性を図る取り組みが始まっている。今週は、大阪府岬町と洲本市を期間限定で結ぶ「深日洲本ライナー」を紹介したい。

岬町と洲本市はかつて存在した旅客船の定期航路の復活に向けた取り組みを進めている。明石海峡大橋が開通した翌年の1999年に深日港と洲本港を結ぶ航路が廃止となるも、2016年に岬町と洲本市が航路に関する連携協議会を立ち上げ。

民間事業者による独立した運航は難しいとするも、本航路における旅客船のニーズ把握と定期航路復活の可能性を検証すべく、2017年から期間限定で運航している。24年度は期間中に1万人以上が利用した。

単に大阪湾を横断する航路ではなく、本航路が「大阪湾南回りルート」として、大阪府南部や和歌山県北部も含めた広域的な観光振興を促し、消費拡大と経済効果を生み出す狙い。大規模災害時の物流と人流における冗長性の確保も担う。

25年度は5月3日から11月3日の期間で、土曜、日曜、祝日に限り運行。両港を40分で結ぶ。一日4往復の運航で、片道の乗船料は大人1800円、子ども600円。深日港8時5分発の第1便に乗れば8時45分に洲本港に到着。洲本港19時発の第8便に乗れば19時40分に深日港に到着する。

和歌山市から深日港までは電車で30分ほど。本航路を利用することで淡路島への日帰り旅行が可能に。秋の行楽の選択肢として検討してみては。(次田尚弘/洲本市)