未来の水素社会を語る 人工光合成の阿部氏講演

講師の阿部竜さん
講師の阿部竜さん

二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして注目される「水素」を活用した未来の社会について考える講演会が25日午後2~4時、和歌山市小人町の市男女共生推進センター(あいあいセンター)6階みらいホールで開かれる。

人工光合成で拓く未来の水素社会の会(島廣樹代表)が主催、市民連合わかやま、週刊金曜日わかやま読者会が共催。講師は、太陽光を用いて水から直接水素を製造する「人工光合成」を研究している京都大学大学院教授の阿部竜さん。

水素は、空気中の酸素と反応させることで電気を生む「燃料電池」のエネルギー源となり、石油などの化石燃料と違って二酸化炭素を排出しない。さらに、窒素との反応でアンモニアができ、肥料がつくれる他、二酸化炭素との反応では炭化水素を経て合成燃料や化成品の材料となり、エネルギー問題などを劇的に変える「水素社会」の到来が期待される。

最大の課題は水素の入手方法。現在使用されている水素の多くはメタンガスなどの化石資源からつくられ、取り出す際に二酸化炭素が発生するため、気候変動対策や化石資源の枯渇の観点から問題がある。水を電気分解することでもつくり出せるが、コストが高いという。

注目されている手法が阿部さんが研究する人工光合成で、植物の光合成のメカニズムに倣い、太陽光によって水を酸素と水素に分解する化学反応を人為的に起こす。現在は、太陽光から水素へのエネルギー変換効率が低く、これを高めることで実用化が期待されている。

島代表は「石油などの化石資源はいつか枯渇する。水素が実用化できれば、人類が扱うには危険が大きい原発がなくてもエネルギーがまかなえる」と話し、講演会への来場を呼びかけている。

参加には資料代として一般500円、高校生100円が必要。先着150人。応募フォームから申し込む。詳細は島代表(℡073・424・9108)。