もっと楽しくリサイクル 松田商店の体験工場

資源リサイクル事業などを手がける㈱松田商店(和歌山市西河岸町、松田多永代表取締役)の体験型工場見学システム「エコ☆エデュテイメントパーク『くるくるシティ』」がオープンから20年の節目を迎え、演出のパワーアップを行い、より楽しみながら学べる場所となっている。
同社は1998年に新工場を設立後、子どもたちへのリサイクル啓発施設として工場見学を受け入れてきた。当時はパンフレットに沿って説明し、ビデオを見てから見学、質疑応答という一般的な内容で、なかなか集中できない子どももいたため、退屈しないで学んでもらえる方法を探していた。
そんな中、2004年に和歌山大学との産学協同事業の一環で、システム工学部デザイン情報学科と連携して同社を舞台にした絵本「くるくる☆クルリンちゃん」を作製し、児童が見学に訪れた小学校に寄贈するようになった。絵本を見た児童らが見学に来るようになり、工場内でクルリンちゃんを探している様子から着想を得て、キャラクターを生かした工場のテーマパーク化を思いついた。
2年後の06年にリサイクル見学システム工場として「くるくるシティ」をオープン。環境教育と娯楽の融合を意味する「エコ・エデュテイメント」施設として、クルリンちゃんや博士が登場するアトラクションを通して、環境問題の深刻さやリサイクルの現状を子どもたちに楽しく伝えている。毎年4000~5000人の児童を受け入れ、オープン当初から現在まで約10万人が見学に訪れた。
新型コロナウイルスの流行期には、リモート形式の体験を導入したことで遠方の学校も対応可能となった。北海道の学校の利用もあり、特別支援学校にも利用が広がった。
今回のパワーアップでは、プロジェクションマッピングの機械を3台導入。分別せずに放置されたごみから生まれる怪獣「マゼゴミラ」の登場シーンを、より恐ろしく、目を引く演出に変えた。クルリンちゃんが出てくる装置が溶け出し、コウモリが飛び、ボコボコと不気味な音を立てるなど強烈な印象を与えることで、ごみを分別して捨てることの大切さを子どもたちに伝えようとしている。
また、13日に閉幕した大阪・関西万博では、フューチャーライフヴィレッジ内TEAM EXPOパビリオンで行われたイベント「―地球の未来を考える―気候変動・脱炭素のために企業が取り組むこと」(ATCグリーンエコプラザ主催)に松田代表取締役が登壇し、社の取り組みを発表。資源循環や美しい地球の環境を守る大切さを、内外に発信する20年目となった。
松田代表取締役は「これから10年、20年先に向けてアトラクションをもっとパワーアップしていきたい。そのためには足元の事業をしっかり行うことが重要。地域の皆さんと発展していければ。ぜひくるくるシティを体験しに来てください」と話している。
「くるくるシティ」は、小学生以下の子ども10人以上の団体の見学を、平日に無料で受け付けている。完全予約制、一日1団体限定のため、早めの予約を呼びかけている。問い合わせは同社(℡073・433・1212)。