県内産「春キャベツ」栽培の工夫

前号では、まろやかな味わいが特徴の長期熟成された梅酒の魅力を取り上げた。地理的表示保護制度(GI)により、知的財産の観点から保護された四つの地場産品にふれてきた。他にも地域の特性を生かした地盤産品がある。JAでは取り扱う県産品を「紀州てまり野菜」と名付けブランド化。今週はその一つに選ばれ、旬を迎えている「春キャベツ」を紹介したい。
県内のキャベツ栽培は主に和歌山市周辺で行われている。かつては水稲の裏作としてタマネギの栽培が盛んであったが、価格の低迷を機に気候や栽培環境に適し、需要が見込めるキャベツ栽培への切り替えが進んでいった。昭和20年代に栽培が始まり、昭和40年ごろには産地として定着したという。令和3年産の栽培面積は約90㌶で、出荷数量は約3600㌧。農家の戸数は340戸に及び、売上高は約3億円。水稲の裏作を支える重要な品目となっている。
特徴は他府県と比べ出荷時期が早いこと。通常は3月から5月にかけて出回るが、県産のものは11月上旬から梅雨ごろまでと極めて長い。冬場の出荷は病害虫の管理に手間がかかるとされるが、柔らかく甘味が強い春キャベツをいち早く市場へ供給することで、小売店の売り場を確保し安定的に出荷しようという狙いがある。
長期間にわたり途切れることなく出荷を続けるために、春キャベツとして栽培される品種は10種類ほど。8月に種をまき、11月には収穫期を迎える「星岬SP」に始まり、11月に種をまき、5月下旬から6月上旬にかけ収穫される「SE」という品種まで、切れ目なく供給できる安定的な出荷体系を組んでいることも工夫の一つ。
温暖な土地柄から、柔らかくシャキシャキ感が強い県産の春キャベツ。旬を迎えているこの時期、ぜひご賞味あれ。(次田尚弘/和歌山市)

