りら生の探究が結実 ブドウハゼ産業本格始動

りらファクトリーの皆さん
りらファクトリーの皆さん

和歌山県紀美野町のりら創造芸術高校の生徒たちが発案した、天然記念物のブドウハゼと町木の榧(カヤ)を活用した地域産業が、今春から本格的に始動する。同校の課外活動りらファクトリーが企画・開発したマルチバーム「キノミノリ」を端緒に、同校元教員で同地域に住む鞍雄介さん(44)が生徒の思いを形にしようと産業化を決断し、事業体「KAYABOSI」を設立した。

キノミノリは、カヤから抽出したオイルやブドウハゼの木蝋(もくろう)を使用したオーガニックマルチバーム。

ブドウハゼは「消えた天然記念物」ともいわれていた希少な資源で、同校生徒が2017年に原木を発見。20年度から、木蝋と未利用資源となっていたカヤの活用に着目し、22年にキノミノリを商品化した。

同年、高校生のビジネスコンテストでグランプリを受賞し、カヤ精油の安定供給やビジネス化を地域に提案した。また、昨年には、150年ぶりとなる高野山金剛峯寺へのカヤ油奉納や、大阪・関西万博での発表を通じ、歴史的価値の周知に努めてきた。

生徒らは、ブドウハゼとカヤを活用して同町の産業になればと活動してきたが、原料の収穫は主にボランティアで生産量が限られ、高校生が抽出した精油は生産量に限りがあった。

産業化により、安定した供給体制の構築が期待される。KAYABOSIは、製造販売を行い、ブドウハゼの植生や収穫作業をはじめ、ECサイトでの販売やふるさと納税への展開も計画。生徒たちは今後も、新商品の企画やデザイン、マーケティングの面で事業に関わる。

鞍さんは「地域が中心となってキノミノリが作れるシステムを進め、キノミノリを通じてハゼやカヤの価値を知ってもらい、地域の財産に変えていきたい」と話す。

3年生の高橋梨里さん(18)は「私たちの手が届かない範囲まで広めてもらい、地域のことも考えて動いてくださってとてもうれしい。県外の人たちに紀美野町を好きになってもらえたら」、1年生の田中佑奈さん(16)は「これまで関わってくれた人たちの思いを大切にし、つないでいきたい」と話した。