難病患者にも入浴環境を ALSの北畑さんが提案

ALS患者・家族の集いで訪れた和歌山ビッグ愛の前で
ALS患者・家族の集いで訪れた和歌山ビッグ愛の前で

全身の筋肉が徐々に動かなくなる指定難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者、和歌山市の北畑達哉さん(66)は、不自由になっていく体を懸命に動かし、ALS患者・家族の集いで同じ悩みを抱える人たちと語り合ったり、患者の苦悩を軽減する支援を行政に訴えったりして日々を送っている。

北畑さんは、病気と闘う患者本人の苦しみもさることながら、患者の日常生活に付き添い、支える家族の苦労も非常に大きいと強調する。患者の病状が進行すれば、介助する家族の肉体的、精神的負担も増していく。家族も不安を抱えながら闘っている。

2023年8月にALSと診断された北畑さんは、右手の筋力が落ち、箸を持つことも難しい状態となる中でも、左手で水泳やボクシングなどに取り組んできた。しかし、左手も次第に自由が利かなくなり、移動にも車いすを使うことが多くなっている。

「おしりも拭けなくなった」と苦笑いを浮かべるが、できるだけ外に出て、人と関わりたい気持ちは強く持っている。

闘病生活の中で感じる課題の一つが、介助を必要とする障害者や難病患者が利用できる入浴施設の不足。現状はごく一部の施設に限られ、大好きな温泉やサウナを楽しめる環境は整っていない。

新たな施設建設には多額の予算が必要になるため、北畑さんは県などの行政関係者に対し、既存のスーパー銭湯などに予約制の貸切時間を設けるなど、現実的な運用による方法を提案している。

「自分が生きている間には実現しなくても、将来のために検討してほしい」。社会からは見えにくい患者たちの苦しみが少しでも軽減され、リフレッシュできる環境が整備されていくことを心から願っている。

10年以上続けている玉津島神社への短歌の奉納や、足の動きを生かして水泳大会に再挑戦することなどを目標に、北畑さんは家族や周囲の支援に感謝しながら、一日一日を大切に過ごしている。