日本語で紡ぐオペラ「椿姫」 岩出の一乗閣で上演

和歌山市のソプラノ歌手、矢倉愛さんが主宰するオペラ団体「THE OPERA WAKAYAMA」は29日午後1時から、岩出市根来の一乗閣(旧県議会議事堂)で、ヴェルディ作曲の不朽の名作「椿姫」を上演する。同団体としては初となる全編日本語での上演に挑戦し、歴史的建造物の空間を生かした独自の舞台づくりで、オペラの新たな魅力を発信する。
同作品は、華やかなパリの社交界を舞台に、ヒロインのヴィオレッタが命を懸けて貫いた愛の証しを描く物語。通常、オペラは原語で上演され字幕を追いながら鑑賞するのが一般的だが、今回は全編にわたり三浦奈綾さんによる日本語訳を採用した。
プロデュースと総合演出も務める矢倉さんは、日本語上演の意図について「外国語では字幕があっても言葉の細かなニュアンスが伝わりにくい面がある。日本語にすることでお客さまに安心感を与え、言葉の持つ力をダイレクトに届けたい」と語る。また、歌い手側にとっても「日本人として感情移入がしやすく、音楽の中で伝わってくるものが大きい」と手応えを明かす。
会場の一乗閣は、明治時代の気品を今に伝える木造建築。大劇場の華美な演出とは異なり、演者の息遣いや情熱がすぐ目の前で感じられる距離感が特長となる。演出面では会場との調和を図り、男性が作務衣を着用したり、着物をアレンジしたスタイルを取り入れたりと、随所に和洋折衷の試みも行われる。
矢倉さんは「『私たちが歌えばそこはオペラハウス』というコンセプトで活動している。ハードルが高いと思われがちなオペラですが、地元に根付いた文化財を活用することで、これまで足を運ぶ機会がなかった人にも、この人間ドラマを心ゆくまで楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。
出演は、ヴィオレッタ役に矢倉さん、アルフレード役に中島康博さん、ジョルジョ役に松澤政也さんら。岩出第九合唱団やアーツクラシックバレエ、椿姫特別アンサンブルが共演する。
チケットは前売り4000円、当日4500円。県民文化会館で取り扱う他、同団体へのメール(operawakayama@gmail.com)で受け付けている。
問い合わせはAria Classica(アリアクラシカ)(℡090・9874・9896)。


