二百年ぶり大規模改修へ 和歌浦天満宮で安全祈願祭

工事の安全を祈願し祝詞を奏上する小板宮司
工事の安全を祈願し祝詞を奏上する小板宮司

和歌山市和歌浦西の和歌浦天満宮(小板政規宮司)では、江戸時代の大改修から200年を節目とする2036年の完了を目指し「令和の大修理」に向けたプロジェクトが着々と動き始めている。大規模な改修事業に先立ち、6月から西廻廊の仮設耐震補強工事を行うのを前に1日、工事の安全祈願祭が執り行われた。

同宮は、平安時代の康保年間(964~68)に菅原道真公を祭る神殿が建立されたのが始まりとされる。天正13年(1585)の兵火で焼失したが、慶長11年(1606)に当時の紀州藩主・浅野幸長が現在の社殿を再建した。

現存する本殿や楼門などの建物は慶長9年(1604)から翌年にかけて再興された桃山様式の建築群。その後、小中規模の修繕を繰り返してきたが、天保6年(1835)に元藩主・徳川治宝が行った大規模な修繕から190年が経過。

経年による劣化に加え、昨今の気候変動の影響で巨大化した台風や集中豪雨により、各所で損傷が激しくなっている。 特に東西廻廊では凸凹ができたり傾斜状況の数値が悪化したりしており、基礎である石垣にもゆがみが生じている状況にある。

こうした危機的な状況を受け、同宮は本年度、第一期工事として「東西廻廊構造補強」に着手する。中でも一般の参拝者が使用する機会の多い西廻廊を優先し、6月初旬から現場での施工を開始、同月内には完了させる見通し。

県文化財センター文化財建造物課の多井忠嗣課長によると、この工事は本格修理までの暫定的な措置として、建物に耐震壁を設置し、暴風や地震に対する安全性を緊急に高めるもの。これにより、正月恒例の書き初め大会などの伝統行事も安全に次世代へと継承していく備えを整えるという。

この緊急工事を経て、同宮は2034年(令和16)ごろからの本格修理を見据えている。

本格修理では、屋根を一度下ろして木部を修繕し、楼門の朱色の塗り替えなど全体的な改修を予定しているが、工費の負担金だけで1億4000万円に上る見通し。

国の名勝指定を受けている境内地の維持・継承には公的な補助金も活用されるが、多額の自己負担金の確保が事業完遂の鍵となる。改修を支援する有志らでつくる「和歌浦天満宮奉賛会」では、希少価値の高い資産を次世代へつなげるべく、広く協力を呼びかけている。

問い合わせは同宮(℡073・444・4769)。