AIで空き屋問題解決 和大院生が実用化へ支援募る

支援を呼び掛ける寺田さん㊧と笠森さん
支援を呼び掛ける寺田さん㊧と笠森さん

和歌山市栄谷の和歌山大学大学院システム工学研究科1年の笠森大輝さんが代表を務める学生チーム「Nowaste」(ノワスト)が、AIを活用した空き家検出システム「繋ぎ家」(つなぎや)の本格展開に向けて、プロジェクトを立ち上げた。資金調達に加え、開発の精度向上や実証実験の拡大、運用体制の整備、空き家問題への関心を広げることなどを目的に14日からクラウドファンディングを開始し、支援を呼びかける。

同チームは笠森さんに加え、髙下舜人さん(同大大学院システム工学研究科1年)、中本智也さん(大阪公立大学大学院情報学研究科1年)、寺田祐太さん(和歌山大学経済学部4年)、山﨑康生さん(同大システム工学部4年)の5人で構成され、「AIシステムを使った地域課題解決と業務改善」を軸に活動。チーム名のノワストは「NoWaste(無駄をなくす)」に由来し、空き家をはじめ地域に眠る資源を無駄にしないという思いを込めた。

ワースト2位の現状

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、県内の空き家率は21・2%で全国ワースト2位となっている。多くの自治体では空き家把握が「通報待ち」にとどまり、主体的・網羅的な発見ができていないのが現状だという。笠森さんは同大でAI・システム工学を学ぶ中で、県の空き家問題の深刻さを知り、「自分のスキルを使って地域の課題を解決したい」との思いで事業化した。

同大では起業家精神を育むことを目的とした教育プログラム「アントレプレナーシップ教育」を行い、学生が地域企業と協働し、自己満足にとどまらない具体的な成果をもとに、県の価値創造に貢献することを目指している。笠森さんたちは、その一環となる学生挑戦コンテスト(昨年11月)で発表。惜しくも落選したが、参加者から前向きな評価を受けた。「元気わかやま」ビジネスプランコンテストにも挑戦。2次選考で落選してしまったが、事業計画を形にすることができ、大きな手応えを感じたという。

また、ことし1月には紀陽銀行主催の創業後間もない企業やベンチャー企業、新たな事業分野への進出を目指す事業者への支援を目的とする「第11回紀陽イノベーションサポートプログラム(KISP)」に応募し最終選考まで残った。「『もったいない』をもう終わらせる和歌山発、空家の流通促進」をテーマにプレゼンテーションを行い、奨励賞を受けた。空き家事業の他、アパレル業界の事業者から業務改善AIの開発相談を受けるなど、テクノロジーで地域事業者の課題に応える取り組みを幅広く進めている。

低コストで可視化

同チームの中核事業の一つである「繋ぎ家」は行政が保有する水道料金データや登記情報などをAIや独自のアルゴリズムで分析し、現地に行かずに空き家を自動検出・可視化するシステム。従来の調査は1回あたり数千万円かかり、数年に1度しか行えないのが現状だが、同事業は「検出インフラ」として、行政・支援法人・不動産会社の手前で空き家候補を常時・低コストで可視化を実現。全国の自治体への横展開を目指す。

現在は大阪府田尻町での実証実験を調整中で、不動産関連事業を手がける企業から泉佐野市の物件調査委託を現在進行形で受けるなど、実務面でも実績を積んでいる。国交省モデル事業への応募を予定し、NPO法人地方創生協会、和歌山市との連携なども進めているという。

笠森さんは「空き家は『問題』として扱われがちだが『まだ誰かの役に立てる資源』だと考えている。空き家でお困りの方、活用したい方、データ提供にご協力いただける自治体の方、ぜひお声がけください」と話している。

同プロジェクトで集まった支援金はシステム開発費、実証実験費、広報活動費などに充てられる。支援金額に応じてプロジェクト公式サイドに名前・企業ロゴの掲載や開発進捗レポートの配信などのリターンが受けられる。詳細は「CAMPFIRE」内「繋ぎ家」(https://camp-fire.jp/projects/936309/view)で確認を。問い合わせは笠森さん(aectum059pbt@gmail.com)。