楽しいジャズを 亡き師への思い込めコンサート

和歌山市のジャズドラマー、瀧益生さん(82)らによるトリオコンサートが17日午後7時15分から、同市米屋町(ぶらくり丁内)のライブスペース・モーメンツで開かれる。当日、83歳の誕生日を迎える瀧さんは「ジャズは特別なものでなく、アメリカの大衆音楽。あと何回できるか分からんけど、体力が続く限り楽しいジャズを届けたい」と話している。
バンドマンの父と、歌手だった母のもとに生まれた瀧さん。石原裕次郎に憧れて10代でドラムを始めた。大阪市のキャバレー「ミス大阪」でドラムをたたき、17歳でプロデビュー。1969年には、榎谷おさむとシャイアン・エコーズの一員として、東芝レコードから和歌山弁を題材にしたコミカルな「アカナイショ」を発売。音楽で和歌山を盛り上げる数々のイベントを企画してきた。
今回、コンサートに向けて準備する中で飛び込んできたのは、瀧さんが敬愛するピアニストでスイングジャズの第一人者・秋満義孝さんの訃報だった。親族から電話で知らせを受けた瀧さんは言葉を失ったという。
秋満さんとは三十年以上前から交流があり、2017年の瀧さんの音楽生活60周年記念コンサートでも共演し、23年、24年にも秋満さんを和歌山に迎えた。
今回の出演者は神戸市の中山良一さん(べース)、和歌山市の松田美佐子さん(ピアノ)。演奏曲で特に思い入れがあるのは「その名はフジヤマ」。トリオ・ロス・パンチョスのオリジナル曲で、日本ではアントニオ古賀の歌唱で知られるが、秋満さんがスイング・ラテン調にアレンジした。
これまでの瀧さんのコンサートでは、松田さんがゲストの秋満さんの前で同曲を披露。かつて東京の秋満さんの自宅で直接手ほどきを受けたこともある。難曲とされ、瀧さんは「これを弾ける人は、なかなかいない。ぜひ聴いてもらいたい」と話す。

何度も瀧さんと共演してきた松田さんは「時に大胆に、そして繊細に。瀧さんのドラムはとても色彩豊か。いつもユーモアにあふれ、真っすぐな心で情熱を持った方。素晴らしい皆さんと演奏の機会を頂き、光栄です」と笑顔で話す。
秋満さんとの交友、共に奏でた音楽は、瀧さんや松田さんにとって大きな宝物という。瀧さんは「約30年前、和歌山に来てくれた時、僕の音楽は変わった。一緒に演奏できたことは、自分にとって最高の思い出。『君はいいね。いつも楽しくやっている』と穏やかに声をかけてくれ、うれしかった」と振り返る。
過去には大病を経験し、体力面では足腰の衰えも気になるが、90歳を超えても現役で美しい音楽を届け続けた大先輩の秋満さんを思い、自身を鼓舞する。
当日の演奏曲は「Rose Room」「鈴懸の径」「小さな花」など。「嵐を呼ぶ男」ではドラムソロも披露する予定。
瀧さんは「秋満さんの、あの、にこっとした優しい笑顔が忘れられない。天から見ててくれたらうれしい」と話している。
チケット6000円(ワンドリンク付き)。問い合わせは瀧さん(℡090・8201・8969)。

