静電気ノイズで通信途絶 カイロス3号機の中断原因

オンラインで記者会見した豊田社長(8月30日)
オンラインで記者会見した豊田社長(8月30日)

和歌山県串本町で3月5日に打ち上げられた小型ロケット「カイロス」3号機が飛行を中断した原因について、宇宙事業会社のスペースワン㈱(東京都)は8月30日にオンラインで記者会見を行い、機体に蓄積した静電気による電気ノイズが通信線に混入し、一時的な通信途絶が発生したためとの調査結果を発表した。同社は対策を講じ、4号機の早期打ち上げを目指す。

飛行中断措置が取られたカイロス3号機の軌道の煙(3月5日)
飛行中断措置が取られたカイロス3号機の軌道の煙(3月5日)

3号機は、打ち上げ後の位置や速度、姿勢などの飛行状態は健全だったが、68・8秒後に内蔵の自律飛行安全システムが異常を検知し、自爆していた。

同社が外部有識者を交えて調査した結果、2系統ある同システムのうち1系統において、飛行安全管制機器とロケット第1段に搭載の飛行中断機器との間で通信異常が発生したことが判明。同システムはこれを「飛行中断機能喪失の恐れあり」と判断し、設計通りに飛行中断に至ったという。

機体に蓄積した静電気による電気ノイズが通信線に混入し、通信ソフトウェアがリセットされたことで、一時的に通信が途絶した可能性が高いとみられる。同社の再現試験でも同様の不具合が起こることが確認された。

異常が発生したのは、飛行中は使用しない地上設備との通信ラインの部分であり、関野展弘副社長は「フライトで使わないラインであるため、静電気対策への配慮が十分でなかった」と述べた。

同社は対策として、電子部品を追加してノイズ耐性の強化や静電気の除去を図る他、ソフトウェアのリセット機能の改修を行う。さらに、同システム以外の電気機器に対しても同様の対策を講じる。

4号機の打ち上げ時期は未定。従来と同様に顧客の人工衛星を実際に搭載するか、ダミーを搭載して打ち上げ自体の成功をまず図るかについても検討する。打ち上げの2カ月前には詳細を公表するとしている。

豊田正和社長は「3号機で得られた知見についても、一切の妥協なく4号機の対策に反映していく。スペースワンはこれからも挑戦を恐れることなく、日本の宇宙輸送の未来を切り開いていく」と話した。