伝統の榧油を復元へ りら高校が搾油機制作に着手

和歌山県紀美野町のりら創造芸術高校で地域活性化に取り組む課外活動「りらファクトリー」の生徒たちが、かつて同町内で榧油作りに使われていた伝統的な「立木式搾油機」の再現と油作りの復元に乗り出した。16日、同校美里校舎で、搾油機を所蔵する県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)から、搾油機の借り受けが行われた。生徒たちは借りた搾油機を参考に、形を変えず同校用に制作する。
カヤは同町の「町の木」。全国でも有数の自生率を誇り、種子から採れる油は食用油の原料に利用されてきた。また、カヤの油は凝固点が低く、冬の灯明用には欠かせないとされ、江戸時代から高野山へ年貢として納めていたと伝えられている。
りらファクトリーは、地域に眠る価値を高めようと活動し、これまでブドウハゼの原木発見や県天然記念物への再指定、ブドウハゼとカヤを使用したオーガニック化粧品の開発などを行ってきた。昨年9月には、同校の生徒が製造したカヤ油を高野山真言宗総本山金剛峯寺へ150年ぶりに奉納した。
高野山への奉納時、カヤの搾油に、卓上タイプの道具を使っていたことから、今回生徒らは「昔ながらの立木式搾油機を使うことで、当時の品質を再現できるのではないか」と発案した。
かつて同町で使用されていた立木式搾油機が紀伊風土記の丘にあると聞き、同施設を訪れ、取り組みに賛同した同施設は「地元の高校生と一緒に何かできれば」と貸し出しに快諾した。

借り受け期間は約1年半。立木式搾油機は、高さ約1㍍、重さは推定300㌔。カンヌキ、槌などの道具が一式残っているのは県内で唯一だという。昭和初期まで使用され、くぎを一本も使用していない希少な道具。
2本の柱の間に臼となる丸太が組み込まれ、丸太にはカヤの実を入れる穴が空いている。同機で搾ると良質な油が採れるという。紀伊風土記の丘の藤森寛志主任学芸員は「紀美野町で使われていた道具が里帰りした。こんな機会は無いので、ぜひ搾油機を触って重さを感じ、活用してほしい。再現できたら面白い」と期待を寄せる。
生徒らは今後、形は変えず、今より5倍の油が搾れ、移動できる重さの搾油機を造る。3年生の古田小由来部長は「今より搾油量を増やし、質の良い油を搾って高野山へ奉納したい」と話している。


