家族と語り、意思表示を 中山さんが臓器移植の講演

10月の「臓器移植普及推進月間」に合わせ、紀州葵ライオンズクラブ(加志勉会長)は20日、和歌山市内での例会で臓器移植に関する講演会を開いた。公益財団法人わかやま移植医療推進協会の臓器移植コーディネーター、中山恭伸さんが講師を務め、移植医療の仕組みや現状を説明し、臓器提供の意思表示や家族との事前の話し合いの重要性などを訴えた。
日本の臓器提供件数は増加傾向にあるものの、人口100万人当たりの提供者数(2022年)は0・88人で、アメリカ44・50人、ドイツ10・34人、韓国7・88人など各国に比べて非常に低い水準となっている。移植を希望している登録者は1万7000人を超えるが、昨年に実際に移植が行われたのは636件にとどまっている。
現状について中山さんは「日本人が他人に対して優しくないということでは絶対にない」が、自身の死後の臓器提供について、「きちっと考える時間を十分に持てていない、死というものに対する教育が十分にされていないことが問題ではないか」と話した。
内閣府の調査(21年)では、臓器提供をしたいと考えている人は39・5%いるが、運転免許証やマイナンバーカードなどで意思表示をしている人は10・2%しかいない。臓器提供は家族にとっても大きな出来事であり、本人の意思表示がなされていれば、90・9%の人が尊重するとしている一方、本人の意思表示がない場合、臓器提供の決断を家族がすることに負担を感じると答えた人は85・6%にも上っている。
中山さんは、自身の「死」について見つめ、どのような最期を迎えたいかを考え、家族と繰り返し話し合って共有する「人生会議」の大切さを強調。臓器提供についても「意思表示は誰でも書いておくことができる。自分だったらしたいのか、したくないのかを考えて、家族と共有して記入してほしい」と呼びかけた。
加志会長は「臓器移植について正しく知ることができた。死を考えたとき、家族と臓器提供や治療の話をしておくべきだと強く思った。誰もが迎えるものだが、家族であっても話しにくいテーマ。それでも大切だと感じた」と話した。


