山国の素晴らしさ 写真家・井賀さん本出版

 山国・日本の素晴らしさを伝えようと、和歌山市出身の写真家、井賀孝さん(41)=東京都在住=が、平成20年から3年間の山伏修行を通じて出合った山々を描いたルポタージュ『山をはしる 1200日間山伏の旅』(336㌻、亜紀書房)を出版した。和歌山の山も登場し、井賀さんは「自然の大いなるものの存在を感じるようになった。和歌山は山国の象徴。本が和歌山の良さを見つめ直すきっかけになれば」と話している。

 井賀さんは大学卒業後、独学で写真を始め、27歳の時に出合ったブラジリアン柔術をきっかけに「闘って撮る」写真家として歩んできた。

 現在は格闘家やスポーツ選手、アーティストなどの撮影をしながら、「トライフォース柔術アカデミー池袋本部」で指導者としても活躍している。

 本を出すきっかけとなったのは、海外から見た日本の美しさに気付いたこと。写真家としてブラジルや欧州、アジア各地など海外渡航を重ねるうちに「日本の素晴らしさを伝えなければ」という気持ちになったという。

 日本は国土の大半が山に覆われた山国。「幼い頃から親しんでいた山を撮ろう。まずは山を登らなければならない」と、平成20年から23年末にかけて、日本アルプス、富士山、剱岳など、いくつもの山を登った。

 その中で、実家近くにある鳴滝不動が修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が開いた行場であることを知り、テーマを「山と山岳宗教」と決め、山伏修行にも身を投じた。

 本では、吉野山から熊野本宮大社までの大峯奥駈修行▽八海山の越後三山奥駈修行▽北海道の羅臼岳登山▽富士登頂と、そこで出会った人や感じたことなどについて、写真と共に書き記している。井賀さんは今後、「『山をはしる』の写真集も出したい」と話している。

 本は2500円 (税抜き)。 問い合わせは亜紀書房(℡03・5280・0261)。