海上自衛隊全艦種の寄贈目指す、水彩画家の志磨隆さん

 和歌山市五番丁の水彩画家・志磨隆さん (69) が、 8年前から海上自衛隊や海上保安庁、 米海軍、 米軍沿岸警備隊などに船艦の絵の寄贈を続けている。 寄贈作品は現在40を数え、 秋には米海軍横須賀基地の原子力空母ジョージ・ワシントンの絵を同艦に寄贈する。 志磨さんは 「全て日本を護 (まも) る船たち」 と話し、 海上自衛隊全艦種・全クラスの寄贈を目指している。

 志磨さんは、 クイーン・エリザベスⅡなどの優美な豪華客船の絵、 風や波の音、 人々のざわめきが聞こえてくるような明るい透明水彩画で知られる。 子どものときから絵を描くのが好きで豪華客船は憧れ。 船の生きた姿を描くため実際に乗船するようになった。

 海上保安庁などへの寄贈の理由は 「絵が喜ぶから」 という。

「絵は描かれた場所におかれると一番喜ぶ。 それに艦内は殺風景ですから、 乗組員の方々が 『艦内が潤う』 『元気が出る』 『士気が上がる』 と喜んでくださる」 とほほ笑む。

 さらに 「日本が平和なのは、 そういう人たちが国を守っているから。 私たちは何もできないけれど、 絵が私の分身として働いてくれたら」 とも。

 搭乗させてもらい、 並んで飛ぶ姿を撮影させてもらった対潜哨戒機など思い出は多い。 また、 描く波や空を1点1点違えるため、 さまざまな表情の波や空、 上空から写した流氷の海など、 描くために集めた写真データは船と合わせ3万5000枚に上る。

 空母ジョージ・ワシントンの絵の完成ももうすぐ。 寄贈の日、 絵と乗組員の喜ぶ姿を楽しみにしている。

 

 ことし7月末に和歌山に来港した護衛艦 「いそゆき」 に贈呈した絵