和歌山県文化表彰に辻さんら6人
県の文化向上、発展に貢献した人に贈られる平成24年度県文化表彰の受賞者が決まった。「文化賞」は古座川町出身の医学者・辻省次さん(61)=東京都=、「文化功労賞」は歌手の古都清乃さん(65)=東京都=、郷土史研究家・南方熊楠研究者の中瀬喜陽さん(79)=田辺市=の2人、「文化奨励賞」はいずれも和歌山市出身のスペースアートクリエーター・池下章裕さん(55)=東京都=、作曲家・北浦恒人さん(53)=愛知県=、日本画家・清水由朗さん(51)=東京都=の3人に贈られる。
昭和39年度から実施している表彰で、 本年度が49回目。 表彰式は15日午後2時から県庁正庁で行われ、 受賞者には表彰状とメダル、 副賞が贈られる。
受賞者の功績パネル展が3月6~11日に和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で行われ、 作品展や講演会なども同期間を中心に予定されている。
受賞者の主な経歴と功績は次の通り。
【辻省次さん】
東大医学部卒。 米国立衛生研究所客員研究員や新潟大教授などを経て、 現在は東大大学院教授、 同大付属病院ゲノム医学センター長。 神経難病の病因の解明、 治療法の研究に取り組み、 大規模ゲノム解析により、 多くの遺伝性神経疾患の病因遺伝子を発見し、 治療法開発の道を開くなど、 世界の同分野の研究に大きな影響を与えている。 日本医師会医学賞、 紫綬褒章など受賞。
【古都清乃さん】
本名・近藤陽子。 群馬県出身。 昭和40年に 「初恋笠」 でデビュー。 43年、 ぶらくり丁など県内の地名を歌詞に取り入れた 「和歌山ブルース」 「串本育ち」 をリリースし、 ご当地ソングの先駆けとなる。 和歌山各地にゆかりのある歌を数多く歌い、 地元スーパーのCMソングでも親しまれ、 県外出身・在住ながら広く県民に愛されている。
【中瀬喜陽さん】
上富田町出身。 東洋大文学部卒業後、 町立中学校、 県立高校の教諭などを経て平成18年4月から6年間、 南方熊楠顕彰館館長を務めた。 教職中から地方文化を研究し、 特に熊楠の業績や膨大な資料の保存・顕彰に力を注いできた。 熊野古道と詩歌の関わりに着目した研究も進め、 自身も俳人として活躍するなど、 功績は多岐にわたる。
【池下章裕さん】
三菱商事に勤務当時、 国内外の宇宙開発などの情報を、 自作のイラストを挿絵にウェブで発信していた。 平成13年から文科省宇宙科学研究所 (現JAXA) の依頼で小惑星探査機 「はやぶさ」 や天体などのイラスト制作を任されるようになり、 15年に独立。 宇宙関連の書籍やテレビなど各種メディアで宇宙イラストを手掛けている。
【北浦恒人さん】
愛知県立芸大大学院作曲専攻を修了。 現在は同大非常勤講師などを務める。 森川隆之、 保科洋、 兼田敏らに師事。 平成3年の日本交響楽振興財団第13回作曲賞入選、 17年の日本歌曲振興会第15回日本歌曲コンクール作曲部門優秀賞など優れた作品を発表している他、 現代音楽の作品展の開催、 後進の指導育成などにも尽力している。
【清水由朗さん】
東京芸大美術学部日本画専攻卒。 現在は創価大学教授、 日本美術院同人など。 平山郁夫、 田渕俊夫らに師事し、 大学院在学中から発表を続け、 平成12年に第85回院展日本美術院賞、 23年に第96回院展文部科学大臣賞など受賞歴多数。 県内の作品展への出品や母校の県立向陽高校への絵画寄贈など、 郷里の文化振興にも寄与している。