後肢に続き前肢発見 モササウルス類の化石
平成18年に有田川町の鳥屋城山で発見された大型海生爬虫 (はちゅう) 類・モササウルス類の左後肢の化石に続き、 左右の前肢の骨、 脊椎骨、 肋骨、 歯など約70点が新たに見つかった。 県立自然博物館 (海南市船尾) が18日、 発表した。 同一個体の前肢と後肢の化石が両方見つかったのはアジア初で、 世界的にも非常にまれという。 同館では12月中旬まで前肢の一部の化石を展示する。
モササウルス類は恐竜時代の 「海の王者」 で、 白亜紀後期の海に生息。 トカゲに近いが四肢はヒレ状で鋭い歯を持ち、 肉食性でどう猛な性格だったとされる。 中には体長10㍍以上の大型のものも存在していたという。 白亜紀の終わりごろ (約6500万年前) には、 他の恐竜と共に絶滅した。
化石はおととし6月に当時大学院生だった御前明洋さん (現北九州市立自然史・歴史博物館学芸員) が発見。 その後、 同館が昨年12月からことし3月にかけて追加の発掘調査を行ってきた。
産出したのは、 外和泉層群鳥屋城層と呼ばれる地層で、年代は約7500万年前と推定。 約3㍍×1㍍の範囲内に多くの骨化石が埋没しているのが見つかり、 全て採取することに成功した。
石の中から骨を取り出すクリーニング作業により、 現在までに椎骨24個 (うち20個は関節でつながった状態)、 肋骨15本、 歯13本、 前肢と下顎の骨の産出を確認している。 今後の進展でさらに増えるとみられる。 作業工程は半分も終わっておらず、 あと数年かかるという。
また今回見つかった化石は国内で見つかったものの中で最も保存状態が良く、 全体の復元も可能になった。
同館は 「どんな速さで泳いでいたかなど、 当時の生活を知る手掛かりになるかもしれない。 今回は下顎が見つかったので、 将来頭蓋骨が見つかれば言うことない。 ゆくゆくは肉付けして生体の復元などができれば」 と期待を込めている。