上名手の歴史伝える 初の調査報告書が完成

 紀の川市上名手地域の歴史などを後世に伝えようと、 地元のボランティアでつくる 「華岡青洲の郷」 同地域文化遺産の調査研究・記録作成及びその活用事業実行委員会 (谷脇誠委員長) が手掛けた、 同地域初の文化遺産調査研究報告書 『上名手の礎』 が今月、 約2年半の歳月を経て完成した。 B5判、 661㌻の横書きで、 約700項目で編成。 1500部出版し、 近日中に同地域の全約500戸に各区長らを通して無料配布される。

 文化庁 「文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業」 の一環。 報告書では明治22年に名手庄東北部 (西野山・江川中・切畑) と静川庄 (名手上・平野・名手下) で成立した上名手村が、 昭和33年の那賀町合併まで66年間続いたことなどを紹介。
 地名の由来や、 代表的な郷土料理などの他、 偉人・華岡青洲、 林南渓らについてまとめている。

 また文化遺産を独自に5分類。 「祈りの文化」 (神社仏閣など)、 「生産の文化」 (農産物生産など)、 「生活基盤の文化」 (開墾など)、 「くらしの文化」 (年中行事など)、 「近代化の文化」 (医療施設など) に分けて紹介している。

 24日には上名手小学校体育館で出版報告会が開かれ、 地域住民ら約200人が参加。 中村愼司市長らのメッセージが披露され、 谷脇委員長が報告書の内容を簡潔に説明した。 谷脇委員長は 「今後も調査を続け、 上名手に関する郷土資料を管理していきたい」 と話している。