風力発電、低周波被害の実態把握 「考える会」が訴え
海南市下津町大窪地区や由良町畑地区の風力発電所の周辺住民の一部が騒音や低周波による健康被害を訴えている問題で、 実態把握や対策の推進を求めて市民グループ 「風力発電の被害を考える会・わかやま」 (松浦攸吉世話人代表)が活動している。
両地区では風力発電所の稼働後、 住民の一部に頭痛や耳鳴り、 めまい、 不眠などの症状が現れ、 風車が発する低周波との因果関係を訴えている。 大窪地区では平成21年10月から出力1300㌔㍗の風車10基が稼働、 畑地区では20年10月から1000㌔㍗16基、 23年9月からさらに2000㌔㍗5基が稼働している。
この問題は2月県議会でも取り上げられ、 県の答弁では平成22年9月以降に両地区の5人が保健所で健康相談を受けているが、 同会の調査では少なくとも23人が健康被害を訴えているという。
現在、 風力発電所の低周波に関する環境基準はないが、 環境省は人体への影響について22年度から研究を行っており、 基準化に向けた審議の動きがある。
同会によると、 症状は個人差があり、 苦痛を感じない人もいるため、 被害者も心因性だと思っていたり、 周囲に理解されなかったりする場合が多いという。
大窪地区で体調不良に苦しみ、 転居で症状が改善したという女性(71)は 「風車から離れると治まるのだから、 原因は明らかだと思う。 今でもエアコンや冷蔵庫など身の回りの音が過剰に気になる。 本当にえらい目にあった」 と話す。
同会は今月25日、 被害者やその家族と共に県庁を訪れ、 健康被害の実態調査や低周波の測定などを県が行うよう要望した。
松浦世話人代表は 「被害者の声に耳を傾けて、 一日も早く対策を進めてもらいたい」 と訴えている。