目的地までのおもてなし空間 式年遷宮にあわせ新型車両
平成25年は伊勢神宮にとって式年遷宮(しきねんせんぐう)にあたる年。 第107号(3月17日付)では、 来年の 「世界遺産登録10周年」、 再来年の 「高野山開創1200年」 「紀の国わかやま国体・大会」 へと続く、 観光客へのおもてなしやサービスの向上が求められる年になるとご紹介した。
先日、 伊勢神宮をはじめとした伊勢・志摩エリアへのアクセスとして、 大阪と名古屋からそれぞれ運行されている近鉄の 「観光特急しまかぜ」 という新型電車に乗る機会があり、 観光を強く意識したおもてなしの空間を強く感じさせられた。
「観光特急しまかぜ」 はことし3月21日に運行を開始。 大阪難波駅と近鉄名古屋駅の両駅から三重県の賢島駅を結ぶ。 それぞれ一日1往復の運行。 2編成で40億円近くの建造費をかけたという車両は、 電車とは思えないほどの静かさで揺れも感じさせない。 高級感あふれる空間はもちろんのこと、 中央の車両にあるカフェ車両では、 伊勢にちなんだ料理や軽食が味わえ、 大きく設計された車窓からは雄大な自然を臨むことができる。 車両の出入口付近には鍵付きのロッカー(荷物置き場)が用意されるなど、 細部にまで観光客への配慮にこだわっている。
伊勢神宮の参拝者に、 熊野三山をはじめとした県内の観光名所へも来てもらおうと、 県などは 「伊勢へ七度(ななたび)熊野へ三度(さんど)」という言葉を使い、 積極的な広報活動を行っている。 言葉の意味は 「信心はどれだけ深く行っても限りはない」ということ。
観光客に、 自然崇拝の聖地、 信仰の原点である 「熊野」 の魅力に何度もふれてもらえるよう、 更なるおもてなしやサービスの向上が求められていることをあらためて感じた。 (次田尚弘/和歌山)