盗難被害の仏像3体 オークションで発見

 県立博物館(和歌山市吹上)2階のスポット展示コーナーで、平成22年10月に盗難被害に遭い、ことし2月に発見された円福寺(紀の川市穴伏)の仏像3体が緊急公開されている。仏像がオークションに出されているのを同館学芸員が見つけ、取り戻すことができたもので、大河内智之主査学芸員(38)は「盗まれた文化財がこのような形で戻ってくるのは珍しく、まさに希望の光。諦めず探し続けることが大切」と話している。

 「緊急公開! 帰ってきた仏像」と題し、同寺で盗まれた11体の仏像のうち、取り戻した3体を公開。展示しているのは、愛染明王立像(高さ51㌢)、愛染明王坐像(同26・3㌢)、弘法大師坐像(同21・5㌢)で、全て江戸時代のもの。

 ことし2月に発行されたオークション会社のカタログに掲載されているのを、同館の学芸員が発見。同寺とオークション会社と交渉の上、無事に所蔵者のもとに取り戻すことができた。

 同館によると、県内では平成22年から翌年春にかけ、山間部の小さな寺院や神社を中心に、連続60件、約160点以上におよぶ文化財盗難事件が発生。犯人は逮捕されたが、転売などされ、100点ほどが今も所在不明になっているという。

 同館では「文化財は本来地域に残されるべきもので、歴史そのもの。被害に遭った場所だけでなく、今後盗まれる可能性のある地域の文化財へも、対応を見直す機会になれば」と話している。

 7月15日まで。無料(常設展示室、企画展示室へは入館料が必要)。午前9時半から午後5時。7月20日から9月1日までの企画展「未来へ伝えよう私たちの歴史―文化財の魅力発見!」でも展示する。