和歌山復興に「協働の輪」を 広島ICカード事例から
銀行ATMで交通系ICカードへチャージができる。 そんな便利なサービスが広島にある。 カードの名前は 「広島県交通系ICカードPASPY (パスピー)」。 2008年に導入。 広島県内の多くの公共交通機関で利用でき、 発行枚数は約30万枚。
ICOCA (イコカ) は券売機でのチャージ、 PiTaPa (ピタパ) はポストペイ (後払い) の方式をとっているが、 PASPYは券売機でのチャージに加え、 広島銀行や県内の信用金庫のATMから、 キャッシュカードか現金でチャージできる。 これは国内初の試みだという。
広島銀行主導の試みは、 カードの利便性向上にとどまらず、 さらに中国新聞が読者向けに展開する会員制度 (会員数40万人) と提携し、 会員証の機能を搭載したカードを発行。 約4000店舗の加盟店で割引を受けられる。 また、 電子マネーとしての機能もある。 公共交通、 銀行、 新聞社が一体となり、 地域経済の活性化に貢献しようという取り組みは、 広島県民に受け入れられ、 同時に新たなライフスタイルを生み出している。
単体では解決できない課題であっても、 「協働の輪」 を広げ、 多様な主体のツールやノウハウを結集することで、 大きな成果やイノベーションをおこすことができると思う。
先の台風被害において、 和歌山県内では多くの企業や団体、 ボランティアの方々が復興に尽力されている。 復興という共通認識の中で 「協働の輪」 が広がり、 いち早い復興と、 新たな和歌山県の魅力の創出が起きることを祈りたい。
(次田尚弘/広島)