和歌山県立博物館4施設 機能強化へ改革着手
県立博物館施設4カ所の資料収集、保管、展示企画、調査研究などの機能を強化するため、県は、展覧会の計画、決定過程の見直しや評価制度の導入、学芸員人事の新制度などを柱とする改革に乗り出す。本年度から順次着手し、来年度に本格実施する。22日の定例記者会見で仁坂吉伸知事が発表した。
対象施設は、近代美術館、博物館、自然博物館、紀伊風土記の丘の4館。近年、県内外から多数の来場者を集める展覧会が開かれていない現状などから、設置者である県の博物館に対するガバナンス(統治)の在り方を見直す必要があると判断した。
改革では、展覧会などの事業の在り方、方向性を示す基本方針を、県教委が県民の意見を募集した上で策定。特別展などの企画案は2~3年前に決定し、案を県教委、有識者による博物館協議会、知事に報告の上、予算措置などの手続きを行う。
各施設の専門性や人材の有効活用の観点から、現在は4館とも県教委文化遺産課である所管も一部を知事部局に移し、自然博物館は自然環境室、近代美術館は文化国際課とする。
評価制度も導入し、教育長が博物館協議会の意見を聴取した上で施設の運営状況を評価し、その結果に基づいて改善を図っていく。
学芸員の人事制度では、採用方法を見直し、専門知識や調査収集への意欲、展示企画やコミュニケーションの能力などを3段階の選考で図る。採用後も3年に1度の人事評価を行い、中堅学芸員を対象に3カ月から1年程度の中長期研修を新たに導入する。
各施設の運営方針に基づいて学芸員の配置分野の適正化も図っていく。
仁坂知事は「展覧会の企画や人材の配置が正しくできているかという問題意識で見直しを行う」と述べた上で、収蔵スペースなどの施設面の課題についても今後、対策を検討する考えを示した。