伝統工芸品の発展考える 和歌山で初の全国大会

 全国の伝統工芸士が一堂に集う「第30回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」の記念式典が1日、和歌山市民会館大ホールで行われた。同大会は、国が11月を伝統的工芸品月間と定め、昭和59年から毎年開催。県内で開かれるのは初めて。

 産地関係者や伝統工芸士ら約600人が参加。「市民生活と伝統工芸」をテーマにしたシンポジウムでは、5人のパネリストが伝統工芸品の現状や課題、今後の展望について意見を交わした。

 パネリストは洋画家の城戸真亜子さん、ファッションジャーナリストの生駒芳子さん、日本伝統工芸士会会長の田畑喜八さん、伝統工芸品産業振興協会専務理事の酒井正明さん、仁坂吉伸知事の5人。

 田畑さんは工芸品について「疲弊しながらも伝統工芸品が受け継がれてきたのは、海外にはない日本のDNAが伝わってきたから。魂・心を込めて作れば消費者に伝わる。未来を見通した見せかけのものでないものづくりが大事」とし、酒井さんは「作り手と使い手が同じ目線でお互いを見つめ合うことが重要」。

 数年前から伝統工芸と生活をつなぐ仕事を手掛ける生駒さんは、グラフィックと有田焼のコラボレーションなど、さまざまなデザイン革新を紹介。地元デザイナーらと組んで商品力を高める重要性を力説した。

 また、伝統工芸産業の持続について、仁坂知事は「伝統工芸の技術は、さまざまな分野に応用できる。昔は『舶来上等』と言ったが、いまは『日本上等』。日本製品が売れる時代、クールジャパンという言葉を使わないで日本を紹介する部分があってもよいのでは」と提案した。

 その他、功労者表彰では、紀州漆器協同組合前副理事長の田倉久士さんを含め、全国で21人が経済産業大臣表彰を受けた。