大橋・和歌山市長「初心ほぼ果たせた」
和歌山市の大橋建一市長(67)は16日、来年8月の任期満了で退任し、次期市長選には出馬しない意向を示した。同日午後に開かれた女性支援者の集会で表明したもので、後援会幹部も知らなかった突然の発言に衝撃が広がった。後継は指名せず、来夏の市長選に向けて各政党などの動きが活発化するとみられる。
大橋市長は集会で「皆さんに重要なお話がある」と切り出し、不出馬を表明。財政再建や中心市街地の活性化、2年後の国体の準備などの諸問題に一定のめどが付いたことなどを理由に挙げた。
集会後、大橋市長はわかやま新報の取材に対し「1カ月ほど前に出馬しないことを決めた。誰にも話さず、皆さんにはびっくりさせて申し訳ない。理由はいくつもあり、年齢的なこともある。いつが退くタイミングかとは常に考えていた」と話した。後継については「指名するつもりは毛頭ない」と明言した。
現職の不出馬表明を受け、来夏の市長選に向けた動きは加速しそうだ。これまでに正式な立候補表明はないが、市議や元県議が出馬に意欲を示しており、候補者乱立の可能性を指摘する市議もいる。
大橋市長は那智勝浦町出身、大橋正雄元知事の長男。東大文学部卒。毎日新聞社を経て、平成14年8月、前市長の辞職に伴う市長選で初当選。現在3期目。
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大橋市長は18日、市役所で記者会見し、不出馬の決断に至った経緯などをあらためて語った。主な質疑は次の通り。
――不出馬を決めた理由は。
一つは、市長就任時に考えていた初心はほぼ果たせた。財政健全化はかなりの問題を解決し、やる気に満ちた市役所になってきた。2つ目は多選の問題。職員との緊張関係が緩んでくるし、支持者からも苦言が耳に入りにくくなる。
――この時期の突然の表明の理由は。
辞めると決まった首長はレームダック状態になる。その時間はなるべく短い方がいい。次の市長が判断すべき予算編成の問題もある。
――残る課題は。
スカイタウンつつじが丘の問題や都市計画道路のネックが全部は解消できなかったこと。まちなかの活性化も、できたことはあるが、中心市街地はまだ元気になっていない。私のやり方では限界があるとも思う。新しい市長の視点で考えてもらうことも必要かもしれない。
――退任後は。
先のことはまだ何も考えていない。
――後継者は。
50代以下の若い方にバトンタッチしたい思いはあるが、後継指名はしない。