駿河屋が再生法申請 創業550年、和菓子の老舗
老舗和菓子メーカーの駿河屋(本社=和歌山市駿河町、清水衛社長)が17日、和歌山地裁へ民事再生法の適用を申請した。東京商工リサーチ和歌山支店によると、負債総額は9億479万円。消費低迷や原材料費の高騰、さらに競合店などの影響を受け業績が低迷した。営業は継続する。
同市と京都市伏見区に生産拠点を持ち、ようかん、まんじゅう、せんべいなどの和菓子の他、プリン、カステラ、ブッセなどの洋菓子の製造・販売を手掛け、19の直営店を経営。県内を中心に大阪、京都に出店し、百貨店やスーパー内でも販売をしている。
同社は、寛正2年(1461年)、初代が京都伏見で鶴屋の屋号で菓子の製造を開始。元和5年(1619年)徳川頼宣公の国替えに同行し、和歌山の駿河町に移転。貞亨2年(1685)徳川家より「駿河屋」の屋号を授かった。その後も事業を拡大し、昭和19年に法人化。36年10月には大証・東証2部に上場した。
バブル崩壊後は経営不振となり、経営再建に取り組んでいたが、上場基準を維持するために当時の社長らが架空増資を実施したことなどで平成16年11月に逮捕され、17年1月に上場廃止となった。
以降は、事件の後処理を進めながらも事業を継続。近年は緩やかな減収傾向が続き、23年3月期18億3400万円、24年同期17億3100万円、25年同期は年商16億4600万円と低下し、3期連続の赤字となる6212万円の当期純損失を計上した。
その後も業況はさえず、資金繰りが悪化。先行きの見通しが立たず、今回の措置となった。
18日午前、本店は買い物客の姿も見られ、普段と変わらない様子だった。本店近隣の住民らは「以前は、県外から観光客がバスで来ていた。最近は客足が減っていたように思う。和歌山といえば『駿河屋』だった。驚いている。不況のあおりやろね」(60代男性)、「子どもの頃から冠婚葬祭の時などに使っていた。今はインターネットで何でも買える時代やから。びっくりした」(40代女性)と驚いた様子だった。