観光関係者1万人が和歌山に 地域振興、海外との人的交流へ
この2月11日の建国記念日に、全国から旅行・観光に関係する皆さんが約1万人、和歌山市のビッグホエールに集まってくれることになった。「全国旅行業協会」の一大イベントとして、今年で10回目の大会が和歌山県で開催される。全国5500社の会員が目的達成に今懸命に努力をしている。
私は20年前に当時の運輸大臣の奥田敬和先生(故人)の熱心な推挙により、この協会の会長を務めることになった。奥田大臣から「君は今会長就任を渋っているようだが、観光はこれから大事な産業。なぜ、今これを二階君に頼んでいるか10年経てばわかる日が来る」と言われた。20年を経て観光は国が総力を挙げて取組む重要な産業になり、奥田大臣の先見の明にあらためて敬意を表する次第だ。
和歌山県は古くから、豊かな自然に恵まれ、歴史・文化の宝庫とも言われている。特に2014年は熊野古道の世界遺産登録10周年、2015年には高野山開山1200年を迎えることになっている。アジアとの関係に目を向けると、韓国とは紀州の雑賀鉄砲隊の孫市郎が豊臣秀吉の朝鮮出兵で韓国に渡り、戦いに臨んだが、「この戦いには義がない」ということで、韓国側に寝返ったという歴史がある。そして金さんの称号を頂き貴族に列せられることになり帰化して「沙也可」と呼ばれ、現在その子孫が14代で数千人いると言われている。また中国とは今から2200年ほど前に秦の始皇帝の命を受け、徐福が不老不死の霊薬を求めて熊野に渡来し、この地に農耕、漁法等の技術を伝えたと言われている。トルコと串本の絆は近く映画化されることになっている。
現在、わが国では「住んでよし、訪れてよしの国づくり」の観光立国の実現に向けた施策が推進されており、その中で旅行業界としても魅力ある旅行商品を提供していくことが、ますます重要な役割となっている。第10回の記念大会となる本フォーラムを通じて、開催地和歌山の観光関係者と当協会の会員との協力関係を強い絆で結び、今後さらに着地型旅行を推進するとともに、国内観光の活性化と地域振興、さらには、海外との人的交流がますます盛んになるよう、一層の努力を尽くす決意を強くしている。
当日の催しは、中国琵琶の名手、※善祥氏の演奏にはじまり、韓国、ベトナム、日本、特に和歌山の歌を中心に交流イベントが展開される。また、和歌山県出身の芥川賞作家、辻原登先生による「わが聖地・熊野。―そして物語がはじまる」の記念講演、「観光振興と未来の創造」のテーマによるパネルディスカッションも開催される。パネラーには、和歌山県知事の仁坂吉伸氏、観光庁長官の久保成人氏、日本旅行業協会会長の菊間潤吾氏、中国国家観光局東京代表の張西龍氏、錦湖アシアナグループ会長の朴三求氏、日本経済新聞論説委員長の芹川洋一氏、和歌山県出身のロンドンオリンピック女子体操日本代表の田中理恵氏、そして特別ゲストとして前参議院議員の松あきら氏、政治解説者・ジャーナリストの篠原文也氏、コーディネーターは和歌山県選出の門博文衆議院議員とそうそうたるメンバーがそろった。私も協会会長として参加する予定だ。観光立国と和歌山の未来を大いに語り合い、記念すべき大会となるよう願っている。※=さんずいに余