「水軒の浜に松を植える会」に国交省・手づくり郷土賞

 地域の魅力を引き出す優れた活動を表彰する、国土交通省の「第28回手づくり郷土(ふるさと)賞」一般部門に、県道和歌山港線沿いにある水軒堤防の再生に取り組む「水軒の浜に松を植える会」(豊田善之会長)が選ばれた。同賞は昭和61年度に創設され、県内では平成10年度の「ミューズパーク・たなべ」(田辺市)以来15年ぶりの受賞となる。

 ことしは全国で同部門17団体、同賞の受賞経歴のある団体などから選出する大賞部門3団体の計20団体が表彰される。

 同会が活動する水軒堤防は約1・7㌔㍍。江戸時代に整備された当時は松林の映える美しい海水浴場で地域の憩いの場だったが、昭和30年代に海が埋め立てられると松は減少し、不法投棄のごみが増加。同会は「もう一度憩いの場を」と、平成20年に地域住民の有志が集まり発足した。

 不法投棄のごみ処理から始まった活動。「白砂青松」「史跡石積堤防」「健康推進」をテーマに、年に5回の清掃活動やシンポジウムを開催する他、地元中学生も協力し、これまで2000本以上の松を植えてきた。植樹は年1回行い、今月9日には会員ら約30人で約150本の苗を植えた。

 今後、堤防内の遊歩道整備や、防災拠点としての役割を視野に入れた活動を展開するという。奥津尚宏事務局長(71)は「当初はひどく荒れていたが活動1年でみるみるきれいになり、やりがいがある。ここを地域の憩いの場にしたいですね」と話している。

 受賞の伝達式は14日、県庁で行われる。