医大付属病院に新棟完成 がん診療、地域医療を充実
県立医科大学(和歌山市紀三井寺)の付属病院に新たに東棟が完成し、29日、竣工式が行われた。手術室の増設などにより、がん治療を中心とした先進的な診療設備の充実を図っている他、県内の医師不足改善のため、県内医療機関の従事者を育成するなどの機能を持つ「地域医療支援センター」が設置されている。
完成した東棟は、地上5階建て、鉄筋コンクリート造、延べ床面積5269平方㍍。総工費約18億4000万円を投じ、平成24年11月から建設していた。
手術室は7室増設され、計19室となる。現在の手術件数は年間8000件弱だが、がんなどの手術待ち患者が増加しているのが現状で、増設により年間約1万1700件の手術が可能になる。
高齢者に多い心臓の大動脈弁狭窄症や大動脈瘤などの治療に対応するため、体内を高解像度で透視できる装置や外科手術設備などの高度な最新機器を一室に集めた「ハイブリッド手術室」も備える。
また、体への負担が小さい内視鏡治療を充実するため、治療室を増設した。
地域医療支援センターでは、地域医療に従事する医学生の卒業後の研修に対する支援、医師不足の状況把握、分析などを実施。紀南地域など遠隔地の患者が医大に来なくても専門医の診断が受けられるよう、医大の専門医がネットワークを通じて診療に参加し、患者や現場の医師にアドバイスなどを行う「遠隔外来」を開始する。
竣工式では、今月末で退任する板倉徹理事長が「遠隔外来設置によって地域医療のさらなる向上が図れる。県民の期待に応えていきたい」と式辞。建設の経過報告、仁坂吉伸知事ら来賓の祝辞に続き、テープカットが行われ、新棟の完成を祝った。
式典に続いて、すさみ病院の患者を遠隔で診察するデモンストレーションが行われた他、内覧会もあり、医大関係者と来賓は真新しい設備を見学した。
東棟の設計、施工業者は次の通り。
設計=県建築設計監理協同組合(和歌山市)▽建築工事=㈱淺川組(同)▽電気設備工事=協栄電気㈱(同)▽機械設備工事=㈱小向商会(同)