ジビエ処理施設を初認証 和歌山県新制度

 鳥獣害対策で捕獲した県産のイノシシ肉とシカ肉「わかやまジビエ」の流通拡大を目指して県が新たに導入した食肉処理施設の衛生管理認証制度について、いの屋(和歌山市藤田)など県内4施設が初の認証を取得した。安全性を制度で確保することにより、消費を促す効果が期待される。9日、県庁で認証書の交付式が行われる。

 8日の定例記者会見で仁坂吉伸知事が発表した。県畜産課によると、認証制度は、食品衛生法に基づく許可を受けた県内の獣肉処理業者(現在17施設)が対象。県が平成21年から設けている「わかやまジビエ衛生管理ガイドライン」の順守と、捕獲日時や方法、処理日時、場所などの個体情報を管理するトレーサビリティシステムの導入、施設の衛生面などに関する県食品衛生管理認定制度の自主管理レベル1を満たしていることなどを基準に、県の認証会議が審査する。

 今回認証を受けたのは、いの屋、いの屋2号店(和歌山市湯屋谷)、山湯(湯浅町山田)、かつらぎ商店(かつらぎ町佐野)の4施設。認証期間は3年で、県は年1回の定期監査や立入検査により基準が保たれているかを確認する。

 県はまた、全国の都道府県で初となるジビエの肉質等級制度を導入。3月に講習会と試験を行い、18人を「わかやまジビエ格付員」に認定した。今回の認証4施設には計5人の格付員がおり、安全に処理された「わかやまジビエ」が、皮下脂肪の厚さや肉のつや、色などの基準で格付けされ、流通されることになる。

 仁坂知事は「ジビエを安心して県民に食べてもらい、将来的には県外にも名産品として販売するには、流通に乗せることが大切。処理施設の認証と格付けはそのための指標となる」と話した。