国体でドーピング対策 県が初の活動

 来秋の「紀の国わかやま国体」開催を機に、日本のクリーンなスポーツの実現に貢献しようと、県は選手のドーピングを防止する「アンチ・ドーピング活動」を推進。国体に出場する40競技団体全てに、最新のドーピング知識を持つ薬剤師「スポーツファーマシスト」(SP)を配置した。全国初の取り組み。

 県によると、国体のドーピング検査は平成15年の静岡国体からスタート。これまでドーピング違反で失格になった選手はいないという。

 ただ、ドーピングは風邪薬、サプリメント、栄養ドリンクなど、身近なものでも競技前に摂取することで「うっかりドーピング」につながる可能性があり、各団体や選手に意識を高めてもらう狙いがある。

 SPは、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が講習会や試験を経て認定するもので、6月現在、全国に約6000人、県内に75人いる。各団体への配置は国体県競技力向上対策本部(本部長=仁坂吉伸知事)が県薬剤師会と連携して行った。

 ことし3月からは各団体ごとに講習会を開き、ドーピングの最新情報を提供しており、今月11日現在、35団体1064人が受講している。

 県と同会は今後、さらに100人のSPを養成する予定。またJADAと連携し、国体マスコット「きいちゃん」に、世界共通のアンチ・ドーピングのメッセージ「PLAY TRUE」を載せたポロシャツ、ポスターなどを作り、和歌山から全国にドーピング防止を発信していく。

 これまで、選手がドーピングに関して相談したい時は、国体開催県が開催期間中に設置する「ドーピング防止ホットライン」などに問い合わせる必要があった。専門知識のない一般の薬局などの薬剤師に相談する選手もいたという。県国体推進局・競技力向上推進課は「各団体に担当SPを配置することにより、選手が相談したい時、気軽に聞きやすい環境をつくりたい」と話している。