缶サット甲子園準V 桐蔭高チーム

 さまざまなセンサーを搭載した空き缶サイズの模擬人工衛星を上空に飛ばして観測技術力や創造力を競う「缶サット甲子園」に取り組む県立桐蔭高校のチームが、高校生離れした活躍で周囲を驚かせている。今月17~19日の3日間、秋田県能代市で開かれた全国大会では、高い技術力で準優勝に輝いた。

 チームは、2年の北村健浩君(16)と貴夛大樹君(16)、1年の太田裕紀君(15)の3人。今大会は、地方予選を勝ち抜いた10校で争った。同校は全国の高校で唯一、大会初年度から7年連続全国大会出場の名門高として定着している。

 3人は今大会のため、新システムを次々と誕生させた。ピラミッド型にした4面の半透明スクリーンに映像をそれぞれ投影することで、立体的な物体映像を生み出す「3Dディスプレイ」を開発。摸擬人工衛星が上空でどのような状態になっているのかなどを地上から把握できるようにした。

 また、水に濡れた入浴剤が炭酸ガスを発生させる仕組みをヒントにしたエアバッグを製作し、上空100㍍まで打ち上がり放出された摸擬人工衛星の落下の衝撃を和らげることに成功した。

 気温や気圧、湿度、傾き、紫外線など10項目の観測データも正常に機能し、北村君がプログラミングした各種データが一目で分かるリアルタイムグラフ化も高い評価を受けた。

 リーダーの北村君は「今後は軽量化や低コスト化、操作性を向上させて、来年は確実に優勝します」と意気込んでいる。指導する藤木郁久顧問(44)は「装置は、生徒が自分たちで考えて製作しています。生徒の能力と可能性に驚いています」とさらなる成長に期待している。