【AR】注目の演歌少年・原なみと
音楽が流れた途端、あどけなさの残る表情は一転、きりりと引き締まる。和歌山市立芦原小学校6年生、原なみと君(本名=原田波人、11)が熱中するのは、いまをときめくアイドルの曲でも、はやりの曲でもない、演歌だ。オリジナル曲「一意専心」「紀州徳川物語」を収録したCDを自主制作し、各地でキャンペーンを展開中。「和歌山で、『演歌と言えば原なみと』というくらいみんなに知ってもらえるような歌手になりたい」と、情緒的な曲調に乗せ力強く人生を歌う。
演歌好きな祖父の影響で、幼い頃から演歌を聴いて育った。幼稚園の頃から、口ずさむのはいつも演歌だった。
1年ほど前から、曾祖母の崎山忠子さん(84)に連れられ、島崎町のカラオケ喫茶「ホルン」に通うように。得意の川中美幸の「ふたり酒」「豊後水道」などを歌ってみせると、「上手やな」と喜んでくれる曾祖母のカラオケ仲間らの反応がうれしくて、ますます歌うことが好きになった。
さらに、女手一つで兄2人と自分を育てるため、働きづめの母・薫さん(40)の姿に、いつしか「僕が頑張って家族を支えられるようになりたい」と、演歌歌手への夢も芽生えた。
本格的なレッスンを受けたいと、同店にも足を運んでいた同市の作曲・編曲家の河野博さん(62)に依頼。河野さんは「初めて歌を聴いたとき、いい声を持っているなと思った。こぶしもよくきいていて、リズム感もしっかりしている」と素質を見抜き、重点的に発声を指導。なみと君のゆるぎない決意を込めた「一意専心」を書き上げた。
「もっと腹の底から歌えるようになるのが課題だが、この子の声の魅力で、何か人の心を引き付けられたら」と河野さん。「どちらかというと、歌謡曲っぽくない『ド演歌』が向いている。これからは、ふるさと演歌のような曲がいいかもしれない」と期待している。
「目標は、人気があって誰からも愛される氷川きよしさんのような演歌歌手。紅白歌合戦への出場も目指したい」
小さな体に大きな夢を抱き、多くの人の心に届くようマイクを握る。CDなどの問い合わせは河野博音楽事務所(℡073・473・3380)へ。