困難な予算審議の舞台裏 総務委での与野党の攻防、協議
平成27年度予算案が衆議院を通過しました。通常なら3月第一週に衆議院を通過するところですが、昨年末の総選挙の影響で少し成立が遅れ現在、参議院で審議されています。
この間、党の政調会を中心にさまざまな会合に出席し、国会に提出する法案などについて熱心な議論をすると同時に、衆議院総務委員会の与党筆頭理事として活動していました。あまりなじみのない職名ですが、委員会の舞台回しをする役目で結構大変です。野党時代には野党筆頭理事も務めましたが、この度は攻守ところを変えたというところです。
国会の委員会では委員長の下に理事会を構成し、理事会の場でさまざまな委員会に関する事柄を決定していきます。例えば40名からなる総務委員会では、自民5名、公明・民主・維新各1名の8名で理事会が構成され、法案を審議する日時や審議時間、質問者・答弁者をはじめ付帯決議などさまざまなことを決定し、委員会を運営しています。
そして新人議員すら驚くのが、各委員会はほとんどの場合、直前でなければ開催が決まらないことです。その時々の国会情勢や審議状況を踏まえて与野党で協議しながら決定していくため、事が起これば審議が突然ストップするなど、まさに国会は生き物のように動いています。
ただこのため、質問者の特定が遅れ、質問の通告が遅くなり、答弁を準備する官僚が夜中まで仕事することになります。国土交通政務官の時の経験で言えば、国交省に関する総理答弁の総理官邸への提出期限は26時(午前2時)とか27時(午前3時)で、それを受けて総理官邸が各省からの答弁を取りまとめ、早朝から総理に説明するといったものでした。
総理も大臣も官僚も国民の想像以上に大変です。幾度となく議論が提起されましたが、なかなか妙案もなく改善されません。
さて、予算審議の間には各委員会で大臣所信の聴取と質疑が行われますが、とくに財務委員会と総務委員会では加えて予算関連法案の審議も行われます。総務委員会では、地方税法と地方交付税の法案を、予算案と同時に成立させなければなりません。このため、何度も理事会で協議を重ね野党側の了解を得ながら、予算委員会の合間を縫うように総務委員会で審議を進めていくのです。
予算案が成立した3月13日は、総務委員会関係の予算関連法案も成立しほっと一息つきましたが、総務委員会の仕事はここで終わりではありません。3月末までに、年度末に期限の切れる法案すなわち日切れ法案、そしてNHK予算を審議・成立させなければなりません。
この時点では予算案が参議院に送付されているため、参議院の予算委員会や総務委員会の動き、さらに成立に必要な参議院での審議日程等を考慮しつつ、野党側の思惑とも戦いながら、審議の日程を決定していくことになります。
現在、日切れ法案はめどがようやく立ちましたが、NHK予算はまだこれからです。年度末までのわずかな日時の中で、野党側から厳しく指弾されているNHK会長の発言問題などを抱えながら、新年度から速やかに予算執行できるよう、野党各党と折衝を重ね理解と協力を得て、衆参で平成27年度NHK予算を承認していかねばなりません。
テレビで放送される華やかな予算委員会の陰で、各委員会では大事な法案の成立のため多くの議員が精力的に活動しています。その一端を紹介させていただきました。