「高齢農家の腰に」電動スーツ来秋発売へ

装着することで高齢者の農作業などの負担を軽減する「パワーアシストスーツ」。その実用化と販売に向けて、和歌山大学(和歌山市栄谷)内に初の大学認定ベンチャー企業「パワーアシストインターナショナル㈱」(八木栄一代表取締役)が設立された。今後、全国100台規模の実証試験を経てさらに改良し、来年10月の発売を目指す。

パワーアシストスーツは、関節の角度や靴底にかかる力の変化から装着者の意図を読み取り、収穫物コンテナなどの重量物の持ち上げや運搬、中腰での作業などを補助。重さにして10㌔分を支援するため、20㌔の荷物なら10㌔相当、30㌔なら20㌔相当になる。

平成17年から八木代表(特任教授・名誉教授)が開発を進めてきた。農林水産省の助成を受け、当初40㌔あった試作機を7㌔まで軽量化。今後、アルミの部分を強化プラスチックに変更することで、さらに5㌔まで軽量化するという。

会社は同大産学連携・研究支援センター内に今月11日付で設立された。社名には「和歌山から日本、さらに世界を元気にする」という思いを込めた。

27日、ベンチャー認定式が同大で行われ、山本健慈学長から八木代表に商号記が授与された。山本学長は八木代表の長年の研究開発に敬意を表し、「高齢化する農山村の労働力を支えることで農業が発展、維持でき、少子高齢化社会にも大きく貢献できる」と期待。八木代表は「和歌山にふさわしいアシストスーツとして農業を選んで開発してきた。最終的には電動アシスト自転車並みに普及させ、高齢者の腰となれば」と語った。

価格は1台100万円で発売し、普及して大量生産できるようになれば20~10万円台には下がる見込みという。

パワーアシストスーツを紹介する八木代表㊨

パワーアシストスーツを紹介する八木代表㊨