文化無視の要求と戦う 太地のイルカ漁・捕鯨を守る

 先日来、太地町のイルカ漁・捕鯨をめぐって騒ぎが起きている。

 「太地町が追込み漁で捕獲したイルカを水族館で展示している」という理由で、日本動物園水族館協会(JAZA)が世界動物園水族館協会(WAZA)から会員資格停止を言い渡されたのは4月21日のこと。

 数日後には自民党の役員会での指摘もあり、捕鯨議員連盟を招集することになったわけですが、結局のところ、JAZAが自主的に方針を決定するということでとりあえず了承。

 わが太地町にも影響の出ないように最大限の配慮を行っていくことを確認したところであるが、5月27日、太地町漁協がマスコミ向けに会見を行った。これまでWAZAが求めてきた改善策(生体調査のための捕獲時には必要分以外は逃がす、など)に従ってきたにも関わらず会員資格を停止されたのは納得できないということ、今後も太地町に伝わる捕鯨文化を守っていくことなどが明言された。

 ここから、さまざまな論調が出されるように。

 まず、反捕鯨団体シーシェパードは案の定、筋違いな反応をしてきた。

 声明では「これは(太地町の行う追い込み漁は)伝統ではない。冗談を言ってるのか。お金目当てに決まっている」のだそうだ…。

 「太地町は殺しを継続すると表明したが、私達は抗議活動を継続することを表明する」

 「殺し屋たちの動機はお金だが、私達の動機は同情心だ…。お金の流れは止められるし、将来必ず止められる。愛はいつも強欲より勝り、勝利する。優しさは世に広く伝わり強欲と残虐性は消え去る」

 ふえー。どっちがお金目当てなんよ。

 世界中に事実と異なる報道をぶちまけ国民をかどわして受け取る寄付金は10億円以上!

 ディスカバリーチャンネルという番組で、日本の捕鯨船から『打たれたっ!ああ痛い』と顔を大げさにしかめてしゃがみこんだ後、その数秒後にカメラの前ににやけた顔をして『助かった。奴らの打ってきた銃弾はこの胸に入っていたコインにあたったんだ』と、さも大事そうに胸ポケットからそれらしきものを出してきている映像を見て、これはコントかと思ったものであるが、それこそジョークではないのか?

 太地町にいるシーシェパードの人々、自称ベジタリアンの彼らが何を食べているかご存知か。近所のスーパーで寿司やツナ缶、ウインナーを手にして指摘されると「そこにそんな成分が入っていたことを知らなかったに過ぎない」というのだそうだ。

 お金をもらう活動には苦労が伴いますよね、と同情もしてやりたくなる。

 しかしもう我慢ならない。

 百も二百も反論できるしとっちめてやりたいと思うが、彼らは居場所を隠して出てこない。

 というより反捕鯨国のフランスの庇護の元、悠々自適の生活でなんと年下美人妻をめとり堂々と結婚式も挙げておられる、いまや「セレブ」である。

 一方、わが国では毎日新聞に『イルカとフォアグラ』と題した興味深いコラムが。フォアグラはガチョウやカモの肝臓から作られ、古くはローマ時代から伝わる伝統料理だとのこと。しかしその作り方は決して穏やかとは言えない。1日に2、3回、特殊な器具を使ってえさをガチョウやカモの胃に無理やり詰め込む。これを1カ月ほど続けるとおいしいフォアグラができるのである。

 考えようによっては残酷とも言えるこの作り方。しかしほとんどの人は「ガチョウがかわいそうだからやめろ」と言う気はないはずだ。これが古来より伝統的に伝わる料理であり、向こうには向こうの文化・価値観があり、われわれが口をはさむべき問題でもないからである。

 増えすぎたのでオーストラリア政府は700匹のコアラを追加殺戮(さつりく)する決定をした、という情報もある。カンガルーをヘリで機銃掃射してきた事実は残酷ではないのか。コアラは「かわいく」ないのか。絶滅危惧種のホオジロザメを危険だからといって殺戮し続けることに「動物愛護」を語る資格があるのか。

 最近ではようやくイタリアなどでも行き過ぎた愛護運動は慎むべきだと気付き始めているというが、日本ではようやくテレビでもこの問題がワイドショー的に取り上げられ始めたばかり。町の声として拾う意見は「かわいそう」というものも散見されたから、何を食べ、何を利用すべきか、もう一度われわれ日本人は考え直すべきではないのか。

 日本に伝わる文化を無視し、われわれの価値観に従えという欧米の要求は断固拒否せねばならない。イルカやクジラの肉も、牛や豚と同様に感謝しながらいただくのがわれわれの文化である。それを踏みにじろうとする向きには敢然と立ち向かう姿勢を見せて戦っていく覚悟が必要だ。

 最後に。アカデミー賞を取った反捕鯨映画「ザ・コーヴ」で取り上げられた、「クジラを食べすぎたおかげで水銀中毒になった」水産庁の職員は今もぴんぴん働いていることを付言しておきたい。