【AR】祭りと伝統芸能語る 宗教学者・山折さん
関西広域連合や県などが主催する文化フォーラム「体感しよう! 祭りのチカラ」が6月27日、和歌山市民会館小ホールで開かれた。宗教学者の山折哲雄さんが「日本の祭りと伝統芸能」をテーマに基調講演し、ユネスコ無形文化遺産に登録されている那智勝浦町の「那智の田楽」の実演が披露された。
フォーラムは「文化芸術の再発見」をテーマに、平成25年度から年2回、関西各地で開かれ、今回で5回目。約500人が来場した。
山折さんは、熊野那智大社(那智勝浦町)の例大祭「那智の扇祭り」や、神倉神社(新宮市)の「お燈祭り」について、「火祭りの最も原初的な部分を残している」と言及。「これら火祭りは、神がもたらした血のけがれ、死のけがれを浄化するためのもの」と話し、伝統芸能は鎮魂と死者の供養に深く関わっていると述べた。
また、古事記や日本書紀には、死ぬことのない永遠の神、死んで地上に葬られる神の2種類が存在するとし、伊勢神宮の式年遷宮を例に「神話的な世界と歴史的世界は連続している。そうさせているのが、神々の死と再生」と紹介した。
続いて那智田楽保存会が、那智の扇祭りに奉納される舞で室町時代から伝わる「那智の田楽」を実演。県文化遺産課の蘇理剛志さんが解説を加え、踊り手は笛の音に合わせて、ビンザサラと呼ばれる楽器や腰太鼓を鳴らしながら、しなやかに軽快に踊った。
家族で訪れた和歌山市の貴志中学校1年生、上野和博君(13)は「この踊りが600年も前から続いてるなんて、すごい。盆踊りみたいで不思議な動きだなと思った」と話していた。