五輪の思い出語る 金メダリスト森末さん
ロサンゼルス五輪金メダリストの元体操選手、森末慎二さんの講演会が26日、和歌山市本町のフォルテワジマで開かれ、五輪出場時の強烈なプレッシャーや国体出場の経験などをユーモアたっぷりに語った。
県、県教育委員会の主催、NPO法人わかやまスポーツ伝承館の主管で行い、約200人の聴衆が耳を傾けた。
森末さんは1984年のロサンゼルス五輪当時、紀陽銀行体操部に所属し、鉄棒で金、跳馬で銀、団体で銅と3つのメダルを獲得した。
講演では、最高得点10・00を連続で出し、金メダルに輝いた鉄棒の舞台裏を紹介。団体の鉄棒で10・00を出し、持ち点1位で種目別に進むことになり、「オリンピックで10・00ってコマネチと一緒?俺ってすごいと思った」などと話し、会場を笑わせた。
しかし、その日に極度のプレッシャーから39度を超える高熱を出し、3日後の種目別決勝の朝も熱は下がらないまま。それでも、跳馬で銀、鉄棒で再び10・00の演技を見せ、金メダルを手にした。競技後、熱はすっかり下がっていた。
近年の選手が五輪を「楽しむ」と表現することについてもふれ、「オリンピックでしか味わえない独特の緊張感などをプラスに受け止めて楽しむ、という意味で話していることを分かってあげてほしい」と語った。
開催が近づく紀の国わかやま国体については、県出身で体操日本代表の田中佑典さんらに期待を寄せ、「訪れる選手は地元の人々に声を掛けてもらえるとうれしい。明るい顔で『応援しています』と伝えてほしい」と呼び掛けた。