黒潮国体のタイムカプセル 43年ぶり開封

黒潮国体の翌年、昭和47年に紀三井寺公園に埋設されたタイムカプセルが、43年ぶりに開封された――。「紀の国わかやま国体」開催50日前となった7日、納められていた物品の内覧会が同園で開かれ、黒潮国体の関係者らが出席。ユニホームやワッペン、新聞紙などの懐かしの品々にふれ、当時に思いをはせた。

タイムカプセルは昭和47年7月、黒潮国体と開県100年を記念し、同園に建立されたモニュメントの土台部分に埋設された。内覧会では黒潮国体の趣意書、報告書をはじめ、入場券やポスター、当時の雑誌など109件の物品が並び、出席者は思い出話をしながら懐かしそうに見入っていた。

黒潮国体の開会式で選手宣誓をした故粂田芳孝さん(享年51)の妹・喜代美さん(58)は「家族で兄の晴れ姿を見に行ったが、遠くて豆粒みたいだった」と振り返り、母・えい子さん(86)は当時を思い出して目頭を押さえた。
開会式で炬火(きょか)最終ランナーだった高橋恭代さん(69)は、「あの時のわーっという歓声を忘れることができない。いま思うと本当に幸せやった」。閉会式で常陸宮さまから天皇杯を授与された小渕伸二さん(66)は、「あまりの緊張で全身が震え、カップを落としそうになり、宮さまが『あっ』と声を出されたことを覚えている」とエピソードを披露した。

当時タイムカプセルの埋設を提案した赤井英之さん(70)、収納物を選ぶ選定委員だった岩本道弘さん(75)も「懐かしい」と書物のページをめくった。赤井さんは「全国に和歌山の活躍を見せ付けるような大会にしていただきたい」、岩本さんは「立派に開催された前回以上の成功に終わるように」と、開幕が50日後に迫る今国体に期待を寄せた。

収納物は一般向けにも9月5日から10月27日まで、和歌山市本町の「わかやまスポーツ伝承館」(フォルテワジマ3階)で展示される。

モニュメントには今回開封したカプセルの他、開県200年記念行事の際に開封するカプセルも埋設されている。

懐かしの品々に見入る出席者

懐かしの品々に見入る出席者