遺族が命の大切さ語る 西和中で児島さん
命の大切さを学ぶ教室が11日、和歌山市の西和中学校(成末義樹校長)で開かれ、3年生約160人が、犯罪で子どもを亡くした遺族の話に耳を傾け、その苦しみや家族の絆について聴いた。
県警主催、紀の国被害者支援センターが後援し、同校では昨年に続き2回目。講師は昨年と同じく奈良市のNPO法人「KENTO~交通事故を永遠になくす友達の輪~」の児島早苗代表が務めた。
児島さんは、同NPOを設立するきっかけとなった息子・健仁さんについて話した。健仁さんはバイクで高校に通学中、トラックと衝突して亡くなった。健仁さんの暴走が事故原因と決めつけられそうになり、疑問に感じた児島さんら遺族と同級生が現場検証などを求める署名活動を展開し、トラックの運転手は起訴に至ったが、運転手が有罪判決を受け、全てが終わった時には事故から10年という月日が経過していた。
児島さんは自らの体験を生かしてもらおうと、健仁さんの事故をめぐる活動を記録した冊子「交通事故対応マニュアル」を全国各地に無料で配布した。
児島さんは生徒たちに「この話を人ごとではなく、自分に置き換えて考えてほしい。皆さんは壊す人にならないで」と訴え、「命ほど尊いものは、この世にない。ルールをこつこつ守ることが、自分の身を守ることになる」と、交通ルールを守ることの大切さを呼び掛けた。
生徒会の山田楓斗会長は「中学生の僕たちには勉強も友情も大切なことだが、何よりも命を守ることが大切と理解させてくれた。話してくれたことをしっかりと胸に刻みつけたい」と話していた。